【解説】処理水放出に中国反発…水産物の根拠なき“全面禁輸” 安全性は…世界各国より“厳しい基準”
さらに中国国営の新華社通信の記事には「生態環境の破壊者 世界の海の汚染者」という文字が書かれた、海が汚染されるイメージのイラストが掲載されました。
中国は処理水を「汚染水」と呼び続けていて、海洋放出に反発してきましたが、24日に実際に放出が始まると、対抗措置としてすぐさま日本の全ての水産物の輸入を禁止すると発表しました。 これに対して日本政府は、即時撤廃を求める申し入れを行いました。実際にどのくらい影響があるかというと、去年の日本の水産物の輸出額は総額3873億円で、このうち中国が一番多くて871億円でした。4分の1近いこれが全てストップする。さらに2番目に多い香港も、これから日本の10都県からの輸入を禁止するということです。
■中国側が「政治のカード」として利用か…東電の“企業体質”が反発の口実にも
なぜ中国がここまで反発するのか。まず前提としてハッキリしていることですが、日本政府は「中国の主張は科学的根拠がない」と明言しています。SNSでの偽情報などにも目を光らせています。
いろいろ理由はあるのでしょうが1つには、中国側が政治のカードとして利用しようという面もあると予想されます。 実は中国も痛いところを突いてきていて、「日本側のデータは改ざんや隠ぺいの常習犯である東京電力のものだ。日本側が『処理水』と呼ぶ核汚染水が安全だという説は、どうすれば国際社会を納得させることができるだろうか」と3月21日の外交部会見で疑問を呈しています。 長年にわたる東電の企業体質が、反発の理由になる「口実」を与えてしまった形です。 しかし、処理水の放出については東電だけでなく、原子力規制委員会やIAEA(=国際原子力機関)も安全に行われているか、モニタリングデータに異常がないかチェックし続けています。様々なレベルで信頼性については担保しようとしています。 ◇ 事故から12年たって始まった処理水の放出は、原発の廃炉と地域の復興に向けた、極めて長いプロセスの一環です。今もたれているという最大限の緊張感を数十年にわたって維持しつつ、正しいモニタリングと誠実なデータの公開を続けていくことが問われています。 (2023年8月25日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)