【解説】処理水放出に中国反発…水産物の根拠なき“全面禁輸” 安全性は…世界各国より“厳しい基準”
■安全性を伝える日本の取り組み…YouTubeでライブ配信も
日本だけでなく世界各地に原子力施設はありますが、各国はどれくらいのトリチウムを排出しているのでしょうか。経済産業省によると、中国の陽江原発では112兆ベクレル。フランスのラ・アーグ再処理施設は1京ベクレルと桁違いの排出量です。 これに対して、日本の福島第一原発はというと、今年度は約5兆ベクレル、来年度以降は22兆ベクレル未満とする計画です。こうして30年程度かけて全ての処理水を海へと放出する予定です。
処理水の放出に対しての安全性について、私たちはどうやって知ることができるのでしょうか。1つは、東電が公開している「処理水ポータルサイト」というWebサイトがあります。 サイトの中の「海域モニタリング」というところをクリックすると、海水のトリチウム濃度や、福島第一原発周辺の魚・海藻などのトリチウム濃度などのモニタリング結果がわかるようになっています。 また、東電ではYouTubeでヒラメを飼っている水槽のライブ映像を公開しています。水槽は2つあり、片方は通常の海水を使って飼育しているヒラメ。もう片方は処理水を入れた海水で飼育しているヒラメです。 これは東電が処理水の海洋放出の安全性を目に見える形で伝えるために行っている活動で、ライブで公開されています。
また、水産庁も福島第一原発から5キロほどの海域で2匹ほどの魚をつかまえ、トリチウム濃度などの測定を行っています。これから1か月は毎日、魚を採取して、その分析結果をホームページで公表するとしています。 いろいろ努力は重ねていますが、それでも政府は、“風評は必ず発生するもの”と考えていて、値下がりした水産物や漁業の継続支援などに対して800億円をあてて、風評被害対策を行うとしています。
■中国で「塩」の買いだめ…4トンの塩が1時間で売り切れた店も
そしてもう1つのポイントが中国による「根拠なき『全面禁輸』」です。 24日に中国の山東省や上海などで撮影された映像では、店の前に大行列ができていました。行列に並んだ人たちの目当ては「塩」です。海洋放出をうけて塩の買いだめが発生して、ある店では4トンの塩が1時間で売り切れたといいます。