埋め立てられる「リサイクル優等生」、徳島市収集のペットボトル大半が再生せず、その理由は…全国最下位影響か
お茶などの清涼飲料の容器として身近なペットボトルは、使用後に再資源化しやすい「リサイクルの優等生」と呼ばれる。近年は環境意識の高まりを受けて再利用が進み、資源価値が上昇、飲料メーカーや自治体を巻き込んだ争奪戦も起きているほどだ。 【図】ペットボトルのリサイクル市場の構図と問題点 飲料メーカー・自治体を巻き込んだ争奪戦に
そんなペットボトルだが、徳島市では家庭から分別収集したもののうち、大半が直接埋め立てに回されていた。リサイクル率は2022年度の推計で25%以下にとどまる。記者は取材で、埋め立てを行う最終処分場に、徳島市から大量のペットボトルが搬入される現場を確認した。 他のごみと交じっていて取り出しにくいから?汚れていてリサイクルに不向きだから?だが、専門家に尋ねると「再生できるものも捨てられているのではないか」と疑問の声が上がる。埋め立てる以外の方法はないのか。(共同通信=米津柊哉) ▽ペットボトルはごみや砂と一緒に袋詰めにされ、埋め立て場所へ 徳島空港近くにある徳島県松茂町の最終処分場。ここには、徳島市が収集し、リサイクルに回すかどうかの選別過程を経た結果、リサイクルできないと判断されたペットボトルが運ばれてくる。 記者が複数回に渡り最終処分場へ取材に訪れたところ、他のごみとともにトラックに積まれて運ばれてきた大量のペットボトルがあった。
残っていたラベルからお茶やコーラが入っていたとみられる、数々の使用済みペットボトル。中身が腐っているように見える汚れたペットボトルがある一方、透明で、素人目できれいだと感じるものも多かった。砂と一緒に袋に詰められた後、トラックに載せられ、埋め立て場所まで運ばれていった。 ▽全国では95%のリサイクル率、徳島市は推計25%以下 徳島市はペットボトルを缶、瓶と一緒の袋で回収する「混合収集」の方式を採用している。2022年度に家庭から収集したペットボトルは、抽出調査による全体に占める割合(26・5%)を基に算出すると917トン程度とみられる。 一方で、リサイクルに回ったのは、家庭以外から出されたペットボトルも含めて216トン。リサイクル率は25%以下となり、残りは埋め立てられている計算になる。 同様の方法によって他の年度を調べても、同じ傾向がみられた。 他の自治体ではどうだろうか。環境省の「市町村の分別収集等の実績」の調査によると、全国の2022年度収集量は約34万8千トン。対するリサイクル向け引き渡し量は、約33万トンで、計算するとリサイクル率は約95%となる。