過去最高6兆円の自社株買い、「掉尾の一振」後押し-海外勢売り吸収
(ブルームバーグ): ことし過去最高更新が確実視されている企業の自社株買いが日本株の年末高期待を後押ししている。11月から年末にかけて相場が上昇しやすいという季節性もあり、株価指数が最高値に迫るとの見方も出ている。
2014年以降の日本取引所グループのデータによると、日本企業は年初から11月8日までに日本株を6兆円超買い越し、買越額はすでに最高だった昨年の約4兆9000億円を上回った。株式のことし最大の買い手は事業法人となる見通しだ。
資本効率の改善を求められてきた企業は、自社株買いや増配といった株主還元を積極化している。4-9月期決算の発表では、みずほフィナンシャルグループなど3メガバンクグループが今期純利益計画を上方修正するとともに、自社株買いと増配を打ち出した。
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、企業が自社株買いで取得した株式を消却する金額も膨らみ、1株当たり利益(EPS)などの向上につながっていると指摘。株価に対する「自社株買いの影響が大きくなっている」ところに高水準の自社株買いが続きやすく、「日本株を取り巻く環境は悪くない」と話す。
コーポレートガバナンス(企業統治)の改善に向けた企業の取り組みは、7月に東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価が最高値を更新するのに一役買った。しかしその月末に日本銀行が利上げを決定し、8月には最高値から1カ月足らずで株式時価総額の4分の1以上が失われる大暴落が起きた。円相場の変動やトランプ米新政権の関税に対する警戒感から、日経平均は11月18日時点で最高値を約10%下回る。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、海外投資家の売りを自社株買いが吸収する構図だとし、日経平均は年末にかけて4万2000円、TOPIXは2950ポイントまで上がると予想する。現水準から10%ほど上昇する見立てだ。
「掉尾の一振(とうびのいっしん)」とも呼ばれる年末高の経験則も日本株の上昇期待を高める。ブルームバーグが集計した日経平均の過去20年間の平均月間騰落率を見ると、11月と12月はそれぞれ2%超で1、2位を占める。