「豚流行性下痢」豚肉高騰の影響は? 対応に苦慮する業者
豚流行性下痢(PED)が全国に広がっています。発生件数は減少に転じていますが、PEDの影響などで豚肉の価格が高騰。とんかつ店など豚肉を扱う業者も対応に苦慮しています。
ヒトには感染しない
PEDは豚とイノシシがかかる病気で、ヒトには感染しません。主な症状として水様性下痢が起こり、体力のない10日齢以下のほ乳豚では高確率で死亡する可能性があります。ただ、体力のある成長した豚であれば、発症しても回復し、また、感染しても発症しない場合もあります。感染経路としては糞便などを介した直接的・間接的な経口感染になります。そのため、蔓延防止には飼養衛生管理基準の遵守の徹底が求められています。 なお、PEDにかかっている豚の肉が食品として流通することはありませんが、仮にヒトがその豚肉を食べたとしても、PEDにはかかりません。 PEDの発生は昨年10月に沖縄県で確認され、7年ぶりということです。その後、感染が広がり 農水省がまとめた5月12日時点の発生状況をみると、発生自治体数37道県、発生件数608件、発症頭数49万9296頭、死亡頭数12万5374頭となっています。
発生件数は減少に転じる
ただ、発生件数は4月下旬以降減少に転じている状況です。これは拡大を防ぐために農水省が「農場入口での消毒徹底等による侵入防止対策」、「畜産関係施設での車両消毒等による農場間伝播防止対策」、 「排せつ物の適正な管理等の農場内拡大防止対策」「ワクチンメーカーへの増産要請」などの対応が功を奏しているという見方もできるでしょう。 「感染経路は複数あると思われますが、と畜場等を介し、出入りする車やヒトが運ぶという経路も考えられます。ただ、気候が暖かくなってきていることもあってウイルスも活動しにくくなっていますし、対策の効果もあり、新規に発生するスピードはゆるやかになっています」(農林水産省消費・安全局動物衛生課) 50万頭に届く豚に感染し、出荷が控えられている状況にあって、畜産関係者への経済的影響も出てくるでしょう。農水省は5月2日の段階で「豚流行性下痢の発生に対する経営支援対策の周知等について」という要請をだしています。 「PEDは法定伝染病ではないので、特別な保障はありません。既存の対策、経営支援を関係団体にお願いしています」(農林水産省消費・安全局動物衛生課)