【鹿児島・沖縄の糖業―迫られる変革】 喜界・生和、季節工頼み脱却
徳之島の南西糖業は伊仙、徳和瀬の2工場体制。23―24年期は農務部門含め季節工として100人採用した。徳之島事業本部の浜口正仁総務部長は「季節工は年々集めづらくなっている。前期は7人欠員でスタートし、解消できずに終わった。社員(嘱託など含め約90人)はいるので、今は何とかなっているが、島の人口は減っていく。労働力も減る」と厳しく見通す。 同社として力を入れているのは、工場の完全自動化。政府の働き方改革支援事業なども活用して5年前に着手。社員を親会社の精製糖メーカーに派遣し、ノウハウの取得を進めている。 人事制度の見直しも順次進めている。例えば24年度は定年退職日を変更した。従来は3月31日付だったが、今年度の満60歳到達者から次年度の5月31日付とした。同社の定期人事異動は製糖期を避けた6月1日付。そうすることで、再雇用契約も6月1日からとなり、「製糖期の戦力確保という点では大きい」と浜口部長。 沖永良部島の南栄糖業も工場の完全自動化を図る計画。多能工化の取り組みも進めている。沖永良部は1990年代、病害虫のまん延や秋台風の襲来でキビ収量が低迷。同社は親会社の経営破たんもあり、存続の危機に直面した。その後、島挙げての支援を受け再興。現在はキビの収穫面積、収量とも低迷期の2倍。最大13億円あった債務は7年ほど前に解消し、設備改修を順次進めている。 現在社員36人。前製糖期は農務部門含め季節工を島内で43人採用した。来期に向けた採用は7日開始。武吉治社長は「季節工は、今のところ、島の中では冬場の比較的いい稼ぎ仕事という捉え方がされていると思う。社員はバランスを考えながら、増やしていきたい」と語った。