センバツ高校野球 山梨学院、終盤に本領 7-1快勝、連覇へ好発進 /山梨
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)で、3年連続7回目出場の山梨学院が大会第3日の20日、1回戦に登場。京都外大西(京都)に7―1で圧勝し、連覇へ向けて好スタートを切った。左腕・津島悠翔(2年)、エース右腕の桜田隆誠(3年)のリレーで相手打線から七つの三振を奪い、5安打1失点と封じ込めた。2回戦は第7日の第2試合(24日午前11時半開始予定)で、創志学園(岡山)と対戦する。【佐藤薫、早川健人】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 生徒約390人と教員・保護者ら計約500人が、バス13台で甲子園に乗り込んだ。現地集合した保護者らも含め約1000人が、アルプス席で応援を繰り広げた。 関東大会の準決勝、決勝でも先発した経験を持つ津島が、エースの桜田を温存する形でマウンドを任された。母こず恵さん(47)は「親戚ら計12人で応援に駆けつけました。まさか先発しているなんて。心臓がドキドキしています」と、強い風が吹く観客席で力投を見守った。 二回に先制を許したが、四回に相手の野選で同点に追いつくと、応援団は白いメガホンをたたいて喜んだ。 五回途中から雨が降り出しても、攻撃時の応援の熱量は下がらなかった。 六回裏1死二、三塁で横山悠(2年)の遊ゴロの間に、三塁走者の河内佑樹(3年)が生還して勝ち越した。さらに、昨春の優勝時に1人だけベンチ入りしていた二村仁功(ふたむらにこう)(同)が初球を左前に運び、1点を追加した。父の圭司さん(52)は「よーし」と周りの保護者らと喜んだ。 七回に4点を奪ってダメ押しする理想の試合展開。吉田洸二監督は「発展途上のチームが一つ、校歌を歌えた」と満足そうに語り、次戦へと目を向けた。 ◇1人で応援団復活 〇…紅白の矢絣(やがすり)模様の着物に紺色の袴を着て、アルプス席の応援をリードしていたのは、応援団長の遠山侑那(ゆうな)さん。昨年4月に入学し、団員が1年間不在だった応援団をたった1人で復活させた。中学時代はバスケットボール部で、「声出しが得意という自分の長所を生かしたい」と思ったからだ。遠山さんにとって、甲子園の観客席は憧れの舞台。「緊張しているけれど、これを経験できるのは自分だけ。今まで練習してきたことを発揮したい」と語り、声を張り上げた。「4月になったら、新入生を勧誘して仲間を増やしたい」と笑顔も見せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇4番で踏む決意の地 山梨学院 梅村団一塁手(2年) 入学直前だった1年前、開会式直後に第1試合の東北(宮城)戦をアルプス席で見て「いつかは自分もここに立つ」と決意した。4番打者として戻って来た。 一回裏、2死二塁。わくわくする気持ちで迎えた初打席。「ここで打ちたい」。しかし「相手投手のボールになる変化球に手を出すな」との指示通り、四球を選んだ。 1点を追う四回無死一塁で迎えた2打席目。「インコースの真っすぐ」を左前にはじき返した。球場の「ワー」という歓声に「よかった」と緊張がほぐれた。チャンスが広がり、同点のきっかけになった。六回の3打席目も四球を選んで、勝ち越しにつながった。 4打席目は七回2死二、三塁で鋭いレフトライナーが外野手の落球を誘い、走者2人を還した。「あの場面でヒットを打てれば、もっと良かった」と満足しなかった。 「(チームは)いい形で勝てたので、次戦も自分の打撃ができるように練習したい」と意気込んだ。【佐藤薫】