〈明暗二極化するアウトレットモール〉ECサイト全盛期にもかかわらず三菱、三井が業績好調の理由。一方、苦戦する大型商業施設の悲惨な末路は…
千歳・レラの弱点を克服するアウトレットモールを三井が出店
三菱地所のアウトレットモール事業が発表した、2024年3月期の営業収益は前期比12.4%増の573億円だった。2021年3月期は400億円台まで沈んだが、2023年3月期には早くも500億円台に達していた。なお、コロナ前の2019年3月期は466億円だった。2024年3月期は、そこから100億円以上も上積みしている。 そして、三菱地所は現在、店舗面積3万㎡、150店舗の大型アウトレット「京都城陽プレミアム・アウトレット」の開業をも控えている(2025年3月末事業完了予定)。 一方、三井アウトレットパークも好調だ。 主力施設であるMOP木更津は2024年3月期の店舗売上が640億円となり、前年の1.2倍に拡大した。ジャズドリーム長島が14.0%増の570億円、滋賀竜王は11.1%増の300億円となっている。 木更津は2025年夏にリニューアルオープンを控えており、増床で店舗数は330。国内アウトレット最大となる見込みだ。 大手が好調をキープする中、集客に苦戦する施設も目立ち始めた。その一つが新千歳空港近くにある千歳アウトレットモール・レラだ。 2024年3月末までに多くのテナントが閉店。9月1日からアトリウム区画の使用を停止すると発表している。 この施設は2005年にオープンし、2006年に早くも増床工事を行うなど、客足は好調だった。しかし、風向きが変わったのは2010年。札幌中心部と新千歳空港の中間に位置する北広島に三井アウトレットパークがオープンしたのだ。 レラの店舗数が145。三井は2回の増床工事を経て174となっていた。三井は知名度の高いテナントを集めたうえ、イスラム式礼拝堂を設置するなど、早くもインバウンド需要の高まりに目をつけていた。 レラは屋外型で、三井は屋内型。レラは開放感があるものの、冬場の厳しい寒さの中ではデメリットが目立つ。アウトレットのメインターゲットは、子供づれの家族であるため、屋内型で安心して過ごせる三井アウトレットパークに軍配が上がったというわけだ。 北広島のアウトレットパークは、三井が北海道に初進出したプロジェクトだった。アウトレットモールの商圏人口は200万人から300万人と言われている。三井アウトレットパーク札幌北広島は、札幌市からレラへの買い物客をせき止めるかのように出店した。商圏を奪いに行ったのは明らかだ。
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