ドクターイエロー引退、高速化も一因…最新「のぞみ」に検査機器を載せ代替
現在開発中で、27年以降に導入される次世代車両には、架線金具やレール、枕木の異常を自動で検知する新機能も追加。ドクターイエロー以上の検査能力が備わる。点群データやAIを活用した画像診断技術も取り入れ、検査員の負担を減らしながら、点検精度を高める。
在来線でも、ビッグデータやAIを活用した新システムや検査用車両の開発が進んでいる。
JR西日本は20年から、電気系統や空気圧力、室内温度などの車両データを常時収集、蓄積する「モニタ状態監視システム」を一部車両で運用している。以前は定期検査などでしか確認していなかった車両や機器のデータを高い頻度で自動的に取得。ビッグデータとして検査部門のクラウド上に蓄積し、車両の不具合の早期発見が可能になる。
今年10月からは「状態判定システム」というアプリも導入した。蓄積データから車両の機能の状態を自動で判定。各種装置の劣化状況を予測し、適切な修繕のタイミングを割り出す。
JR西が21年から運用する在来線用総合検測車(DEC741)は、屋根に50台以上のカメラを搭載。時速100キロで走行しながら電柱や信号機などの電気設備を撮影し、不具合を検知する実証実験中だ。従来は作業員が出向いて検査する必要があり、大幅な省力化が期待される。
今年8月にはレール締結金具など線路設備の撮影機能を追加し、AIによる画像診断システムも導入。作業員の徒歩による目視点検回数を半減させた。