タイドプールで海の生き物観察してみませんか?磯遊びの楽しみ方を水族館の飼育員が指南
和歌山県・串本海中公園内に位置する錆浦海岸は温帯気候だが、海中は暖流の影響で熱帯・亜熱帯の世界が広がる。豊かなタイドプールで生き物観察してきたぞ。 【写真29枚】長い腕をクネクネと使い、敏速に海底を移動するヒトデの姿も。甲幅が1cmほどのカニ、マダラ模様が特徴のナマコなど海の生き物を写真で見る
磯遊びは五感を使って楽しむべし!
「キャ~、黒い物体がいっぱい」 「ニセクロナマコですよ。お腹を触ってみると、ジャリジャリするでしょ? 砂についた汚れを食べてキレイな砂を糞で出してくれるんですよ」 「……なんか可愛く見えてきた」 ここは和歌山県串本町にある、串本海中公園内に位置する錆浦海岸。事前に申し込めば、施設内の水族館の飼育員と一緒にタイドプールを観察できるのだ。 「串本は温帯気候ですが、海中は暖流の影響で熱帯・亜熱帯の世界が広がっています。海中公園一帯は、世界最北のテーブルサンゴ群生地ですし、春から秋にかけて、タイドプールでスズメダイやチョウチョウウオ、ハコフグの幼魚などを見ることもできるんですよ」 と、飼育員の中村公一さん。 ここで捕まえた生き物を、水族館で飼うこともあるのだとか。 「水族館で生き物を見るだけではなく、自分たちで探して、実際に触ってもらいたくてはじめた体験イベントです。ナマコが硬いか柔らかいか、どんなにおいがするのか、専門家がついていれば安心して触れますよね」 ここで体験したことをきっかけに、自分たちの地元の海でも生き物観察をしてほしい。 「上から見てると、不思議と捕まえたくなっちゃう」 と、生徒ふたり。 「じゃあまずは、ひたすら石をひっくり返しましょう。何かしら隠れていますから」 「ヤドカリ発見!」 「爪が白いでしょ。黄色いのも探してみてね」 「水中にいる魚は無理?」 「網の底をぴったり海底につけたら、そこに手で追い込むだけ」 「あぁ、エビが捕れた!」 最初はおっかなびっくりだったのが、気付けば素手でヒトデを捕まえたり、ハゼやボラの幼魚を追い込んだりと、たった数時間でスキルアップしているのが、なんともたくましい。 「海の生き物を知ってから行くとさらに楽しいですよ。知識がある分、実際に見ると感動もひとしおです。怖がる必要はないけど、油断は禁物。危ない生き物もチェックしましょう」 五感を使った磯遊びは、単純だけど時間を忘れる面白さだ。 ・教えてくれた人 串本海中公園・水族館係長 中村公一さん 高校の生物部で生き物にハマる。毒のある生き物が好きで、水族館での専門はクラゲ。磯の生き物にも精通。芝犬の母娘を溺愛中。 ・生徒 島村 明さん 水族館の窓口ではチケット販売、観光船ではガイドも担当。磯で遊ぶ機会が少ないので勉強も兼ねて挑戦。ハリネズミ一家と同居中。 ・生徒 三浦ひまりさん ダイビングが趣味で、潜水士の資格を持つため、観光船の潜水窓の掃除も担うパワフル女子。串本の海が気に入り、静岡から移住。 ・準備するもの (1)深場ではシュノーケリングマスク&眼鏡があると便利。 (2)透明の観察ケース。 (3)手を保護する軍手。 (4)一辺が平らになった網。 (5)爪先が隠れるマリンシューズやサンダル。 ・地元、串本の海を保護する海中公園 串本海中公園 水族館 さまざまな展示水槽を楽しめる水族館のほか、自然をそのまま楽しめる海中展望塔や、半潜水型の海中観光船などがある。 住所:和歌山県東牟婁郡串本町有田1157 営業時間:9:00~16:30(水族館・海中展望塔) 定休日:年中無休