なぜ人は“ハイスペ時計”に魅了される? 140周年を迎えるエドックス新作と「長く使える時計」への想いとは
●フラグシップ“CO-1”がさらに進化
1世紀を超える由緒あるウォッチメゾンがひしめくスイス時計業界にあって、2024年に創業140周年を迎えた「EDOX(エドックス)」はひときわ特別な存在です。 【画像】3つの「ダイブ」「ドライブ」「フライ」を表す時計とは?(17枚) ポストコロナで時計業界も大きく変貌しようとするいま、老舗・エドックスの取締役だけでなく、セールス&マーケティング部門のディレクターの領域も兼任するクリスチャン・オッツ氏が来日。 一人の時計師が妻に贈った懐中時計から始まったエドックスの歴史や、最新モデルに息づくそのこだわりをブランドビルディングの全般に関わるキーマンに聞きました。
VAGUE:まずはエドックスの簡単な歴史から教えて下さい……とその前に、今つけていらっしゃる時計が気になってしかたありません。紹介していただけますか? クリスチャン・オッツ氏:もちろんです(笑)。今日のインタビューのために選んだのは、2024年11月にリリースする「クロノオフショア1」の新作「クロノオフショア1 ベゼルロック クロノグラフ オートマティック」です。
VAGUE:12・6・9時位置に精密に配されたクロノグラフや丹精なデイ&デイト表示。隅々までエドックスらしい誠実さと力強さに溢れています。 オッツ氏:“CO-1”こと「クロノオフショア1」シリーズは、エドックスのフラグシップとなるコレクション。海のF1と称されるパワーボートレースのパイロットからのリクエストをきっかけに誕生した、45mmサイズのケースを持つメカニカルクロノダイバーズです。 VAGUE:赤く染められた9時位置のレバーが差し色となって印象深いです。 オッツ氏:赤い部品はハイテクセラミックス製のベゼルの回転をロックするためのパーツで、ブランドとして初めて搭載したもの。6時側では一般的なダイバーズと同じ逆回転仕様に、12時側にスライドさせると完全にロックがかかることでよりシビアなミッションをカバーします。赤やオレンジのカラーは水中での視認性が良いだけでなく、デザインのアクセントとしても楽しめますよね。 VAGUE:防水性能にこだわるエドックスらしく、本作も50気圧/500m防水を達成しています。 オッツ氏:140年に及ぶエドックスの歴史のなかで様々なマスターピースが生まれてきましたが、私がとくに重要だと考えているモデルが1961年に誕生した「デルフィン」です。“The Water Champion”というテーマを掲げ、リューズとケースの間を2つのガスケットで気密する“ダブル・Oリング”を採用。ねじ込み式でなくても200mもの防水性を持っていました。