【何が】中国で“無差別殺傷事件”相次ぐ…背景に2億台のカメラによる“監視社会”か? 専門家「復讐したいという人が連なっている」
国民を追い詰める“徹底監視”と“点数システム”
中国情勢に詳しい、キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司 主任研究員は、一連の事件は「社会報復事件」だと話します。 ――なぜこのような事件が相次いでいるのでしょうか? 峯村健司氏: これはまさに、「社会報復事件」と呼ばれていまして、社会に対して今の制度や貧富の格差などをなんとか復讐してやりたいという意味で、市民を巻き込んだ形で派手にやると。 類似のケースが止まらない状況になっていますね。 ――そのようなメッセージは、情報として発信されている? 本当に数秒で事件の関係の画像などは削除されているんですが、中国の人たちは削除慣れしているので、いろんな隠語を使ったりして、検閲逃れをしているんです。そういう人たちから広がっていって、かなり知られているようになっています。 それが結局止まらない。「私も復讐したい」という人が連なっていると…。 峯村さんによると、このような事件が頻発する背景のひとつとして、「徹底監視システム」があるといいます。 中国には、「天網システム」という、AI顔認証付きの監視カメラが2億台設置されており、約1秒あれば中国全土のどこに、誰がいるかが分かるといいます。この監視社会が「閉塞感」につながっているのです。 さらに、国民1人1人に点数が付けられる「国民の点数システム」が存在しています。 減点方式で、犯罪や借金を返済しない、路上駐車やスピード違反、飛行機でシートベルト着用サインが点灯している時に席を立つ、どの問題行動があると点数が減り、点数が低い人は飛行機や新幹線(中国版)に乗れない、出国できないなどのペナルティーが科されます。 ある程度点数が下がると「失信」という状態になり、ローンが組めなくなったり、仕事にも就けなくなります。自治体によっては身分証番号や顔写真を街頭のモニターで公開、電車のつり革広告に出すなど、日本の指名手配犯のような扱いを受けるところも。 国民は自分の点数を調べることができ、「自分はダメなんだ」と分かるようになっているそうです。 峯村健司氏: 一度「失信」になってしまうと、はい上がれないというか、ダメな人間のレッテルを貼られてしまうんです。となると、追い詰められて、仕事も探せないとなって、このような形で事件を犯すと。追い詰められた末に残虐な事件を起こしてしまうと。「信用システム」の弊害とみていいと思います。 カズレーザー氏: 僕は常にこの格好なので、常に監視されているようなものなんですけど、こういう誰からも監視されているような生活は意外とメリットもあって、プライバシーをどれだけ重要視するかなんですけど、例えば監視カメラが多くて防犯を高める地域と、プライバシーを守る地域がちゃんと区分けされているならば、有効性はあると思うんです。 ただ、そうなってはいないし、信用が減ってから取り返すというのが本当に難しいのが、セカンドチャンスがマジでない社会というのは、やっぱり絶望はするだろうなと思います。 元々生まれが良かったり、中国共産党の有力者の子とかが点数が上がりがちなどということも聞きますし、不平等をめちゃめちゃ感じると思います。