実用性と愛らしさを兼ねそなえる名作椅子、イルマリ・タピオヴァーラの《ドムス チェア》【今日の逸品】
イルマリ・タピオヴァーラ《ドムス チェア》
カーサ ブルータスの人気企画「10選」シリーズから、こだわりの逸品をジャンルレスに日替わりでご紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 同じフィンランドで活躍した巨匠建築家、アルヴァ・アアルトの存在が大きすぎたためか以前はあまり光の当たらなかったイルマリ・タピオヴァーラだが、近年は多くの家具が復刻されている。《ドムス チェア》はそんな彼の代表作で、フィンランドのドムス・アカデミカという学生寮のデスクチェアとしてデザインされた。後面がアールを描く後脚や小さめのアームレストなど、タピオヴァーラ独特の造形感覚が不思議な愛らしさを生んでいる。座面に三次元の成形合板をいち早く取り入れるなど、座り心地も高めてある。使い込むほどに愛着の湧いていきそうな椅子だ。
text_Takahiro Tsuchida