利上げリスクが忍び寄る新興国市場-人気の債券取引に打撃
(ブルームバーグ): グローバル投資家は、新興国市場の現地通貨建て債券への賭けを解消している。ほんの数週間前には利下げが広く予想されていたにもかかわらず、一部の新興国の中央銀行が利上げ圧力にさらされているためだ。
世界情勢の変化を受けて金融引き締めを余儀なくされる可能性のある国については、マネーマネジャーの間でも意見が分かれるが、トルコや南アフリカ共和国のような経済の変動が大きい国や、インドやメキシコのような新興経済大国も含まれる。これらの国々が実際に利上げするかどうかは、今後数週間から数カ月の為替や商品相場の動き次第という面もある。
しかし、緩和サイクルが遅れるとの懸念は、年初に最も人気があった取引に既に打撃を与えている。それは、利下げの恩恵を受けるとみられる現地通貨建て債券を買うことだ。ブルームバーグの同資産クラスの指標は、月間ベースで昨年9月以来の大幅な下落を記録し、時価総額が620億ドル(約9兆7900億円)消失した。キャリートレードは2021年以降で最も大きなマイナスリターンとなっているほか、南アやメキシコなどでブレークイーブンレートが急上昇している。
米エーペックス・ウェルスの創業者でウェルスマネジャーのクリフ・アンブローズ氏は、「一部の国は、利上げ実施による影響を受けやすい可能性があるという点で際立っている」と指摘。
「外部の資金調達に過度に依存している国、商品相場の変動にさらされている国、政情不安に見舞われている国などは、より大きな難題に直面する可能性がある」とし、リスクが高い国として、インドやトルコ、インドネシア、メキシコを挙げた。
原題:Rate-Hike Risk Creeps Up on Emerging Markets as Bond Bets Fizzle(抜粋)
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Colleen Goko-Petzer, Srinivasan Sivabalan