2025年は本当に「AIエージェント」の年になるのか?…直近の調査から見えてくる”働くAI”の「意外な事実」
「間違えました、すみません」では済まない
このように商品化まで時間を要することには、それなりの理由がある。 AIエージェントのベースとなる生成AIの技術には、従来から「hallucination(幻覚)」など誤作動の問題が指摘されている。それでもChatGPTなどチャットボットが時々おかしなことを口走る程度なら被害はたかが知れているが、AIエージェントつまり「仕事をするAI」となると話は違ってくる。 たとえばオンライン・ショッピングで私たちが頼んでもいない商品をAIエージェントが誤って購入し、後から「すみません、間違ったボタンをクリックしてしまいました」と謝罪されても、それでは済まない。 当然、AIエージェントには従来のチャットボットを凌ぐ高い動作精度が必要になってくる。それを保証するためには、OpenAIやグーグルなど提供者側では、より慎重に時間をかけてAIエージェントを開発せざるを得ない。試作品(技術)を発表したからといって、すぐに商品化できるわけではないのだ。
未だに低い生成AIの業務利用率
このように入念な技術開発が必要とされるAIエージェントだが、実際にそうした高度な次世代AIが今すぐ企業のオフィスなど仕事場で必要とされているかというと、正直言って若干怪しい。というのも、ChatGPTなど従来の生成AIでさえ、未だ職場に十分浸透しているとは言えないからだ。 日本のGMOリサーチ&AIが昨年12月に発表した調査結果によれば、2024年11月の時点で「生成AIを業務に日常的に活用している」「ときどき活用している」と答えた人は、両方足しても回答者全体の約16パーセントに過ぎない。逆に「まったく利用しない」と答えた人は同68パーセント以上に達し、しかも前回(2024年9月)の調査よりも増えている(図1、出典:https://gmo-research.ai/pressroom/survey/voluntary-survey-20241210?utm_source=chatgpt.com)。 一方、米国では昨年9月、セントルイス連邦準備制度銀行やハーバード大学ケネディ・スクールなどの研究者が共同で実施した調査結果が発表された(図2、出典:https://static1.squarespace.com/static/60832ecef615231cedd30911/t/66f0c3fbabdc0a173e1e697e/1727054844024/BBD_GenAI_NBER_Sept2024.pdf)。 それによれば2024年8月時点で、「生成AIを毎日仕事に使っている」「少なくとも週に1回は使っている」と回答した人は、両方足しても回答者全体の約24パーセントに過ぎない。残りの約76パーセントは仕事に全く生成AIを使わないか、あるいは稀にしか使っていないことになる。
【関連記事】
- 【さらに読む】ChatGPTの“反抗的な回答”に驚いた…!「あなただけが正しいのではない」「いいえ、やりません」…人間のように振る舞う「AIの危険性」
- 黒字化のメドが立たない…OpenAIは「本当に大丈夫」なのか?グーグルと比較してわかった「驚きの赤字額」
- テスラより「自動運転技術」は上…!日本進出を図るウェイモ(グーグル)のロボ・タクシー「驚異の技術力」と、それでも払拭できない「懸念」
- 月額3万円の「ChatGPT Pro」なんて誰が使うのか…!超高額の新製品を発売する「OpenAIの思惑」
- 医学界に大激震…ChatGPTは「医師よりも正確に病気を診断」する!権威あるアメリカ医学論文誌に発表された「驚きの調査結果」