汎用人工知能(AGI)の現実はフィクションよりも「恐ろしい」 ── 映画監督ジェームズ・キャメロンが語る(海外)
映画監督のジェームズ・キャメロン氏は、人工知能(AI)とロボット工学のサミットにバーチャル・メッセージを送った。 【全画像をみる】汎用人工知能(AGI)の現実はフィクションよりも「恐ろしい」 ―― 映画監督ジェームズ・キャメロンが語る キャメロン氏は、自分はAIについては「強気」だが、汎用人工知能(AGI)については「それほど熱心ではない」と語った。 同氏は、この技術が民間企業の手に渡ることを心配している。 映画『ターミネーター』で脚本と監督を務めたジェームズ・キャメロン氏は、汎用人工知能(AGI)を警戒している。 1984年に公開された『ターミネーター』では、アメリカ国防総省が開発したAIが自我に目覚め、人類を核攻撃しようとする。 想像できる限りのディストピアだ。ただ、現実はもっとひどいかもしれないとキャメロン氏は言う。 アメリカのシンクタンクSpecial Competitive Studies Projectが主催したAI+Robotics Summitに、AIの未来に関するバーチャル・メッセージを送ったキャメロン氏は、映画とは対照的にAGIは「政府が資金提供したプログラム」からもたらされるものではないと指摘した。 「現在、この数十億ドル規模の研究に出資している大手テック企業のいずれかから出てくるだろう」 「そして、わたしたちは自分たちが同意したわけでも投票したわけでもない、企業の目標やルールに合致した、ものすごく高度な知能を持ったエイリアンとともに生きる世界で暮らすことになる」 「それはわたしたちの個人データを通じて、通信内容、信条、わたしたちがこれまでに話したことの全て、そしてこの国の全ての人間の居場所にアクセスできる存在だ」 キャメロン氏は、企業が消費者のデータを集め、利益のためにそれを売る監視資本主義(surveillance capitalism)はデジタル全体主義(digital totalitarianism)に「急速に切り替わる」可能性があると語った。 「こうした大手テック企業はせいぜい人間の"自称"仲裁人になるくらいで、盗人に鍵を預けるようなものだ」 「もはやサイエンス・フィクション(SF)でなくなったというだけでも、わたしが40年前に『ターミネーター』で描いたシナリオより恐ろしい。それが現実に起きている」 キャメロン氏は、自身はAIについては「強気」だが、AGIについては「それほど熱心ではない」と語った。AGIは「わたしたちの鏡になるから」だという。 「わたしたちが善である限りにおいて善であり、わたしたちが悪である限りにおいて悪だ」 「人間の世界は悪に事欠かないし、善が何であるかの合意すらない。間違ったことが起こるわけがないって?」
Lauren Edmonds