ドラマ解説者が選定する、今だからこそ「見てからロケ地に行きたい」朝ドラ3選
伊藤沙莉が主演の連続テレビ小説『虎に翼』が早くも大きな話題となっている。日本で初めて女性として弁護士、裁判官、裁判所長をそれぞれ務めた三淵嘉子さんが題材とあって、本作では講堂など歴史を感じさせるロケ地も多い。 そんな中ご紹介するのは「今だからこそ、見てからロケ地に行ってほしい朝ドラ3選」。47都道府県のどこかを舞台にした朝ドラはロケ地観光の王道。ここでは現在も、『NHKオンデマンド』で見られる作品を各年代から1作品ずつ選び、あらためてその魅力にふれていく。紹介してくれるのは、ドラマ解説者として多くのコラムを寄稿する木村隆志さんだ。
連続テレビ小説『ひまわり』(1996年前期)
今回のテーマは、「今こそ、見てから行ってほしい朝ドラ」。作品ごとに舞台が47都道府県のどこかに変わる朝ドラはロケ地観光の王道であり、『あまちゃん』と久慈はその最たるところだろう。ここでは現在も『NHKオンデマンド』で見られる作品を各年代から1作ずつ選び、改めてその魅力に触れていく。 1作目は松嶋菜々子主演『ひまわり』(1996年前期)で、主な舞台は、東京・谷中と福島の2つ。谷中では、バブル崩壊の影響で会社をリストラされた南田のぞみ(松嶋菜々子)が、弟が起こした窃盗事件に関わった弁護士に感銘を受けて、難関の司法試験に挑む物語。福島では、合格後に厳しい現実と向き合いながら司法修習に励み、一人前の弁護士になっていく姿が描かれた。 やはり最大の魅力は松嶋の初々しくも、みずみずしい姿だろう。本格的な演技が初めてだったが、悩みながらも明るく前へ突き進むヒロインを懸命に演じて男女問わず支持を集めた。 さらに、朝ドラらしいヒロインの成長物語や恋模様だけでなく、下町の人情や複雑な家庭問題などを丁寧に描いたことも魅力の1つ。井上由美子の脚本らしい個性豊かなキャラクターと、人間関係の濃厚な描写に泣き笑いを誘われる視聴者が多かった。 撮影が行われた谷中銀座商店街や阿武隈川などには当時と変わらない風景が残り、昨年夕方に再放送されたことで、今もロケ地を訪れる人がいるという。 若き上川隆也に加えて、夏木マリ、奥田瑛二、浅野ゆう子、泉谷しげるらベテラン勢の演技。さらに、飼い犬にふんした萩本欽一のナレーション、山下達郎の主題歌「DREAMING GIRL」も味わいたっぷり。 ストーリー 主演・松嶋菜々子の出世作。バブル崩壊により会社を去ることになった主人公・南田のぞみ(松嶋菜々子)が、弟・達也(遠藤雅)の窃盗事件を機に弁護士を志す。