第94回選抜高校野球 近江、粘りの初戦勝利 6-2 延長十三回タイブレーク /滋賀
<センバツ2022> 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第2日の20日、3日前に急きょ出場が決まった近江が登場した。長崎日大を相手に九回に同点に追いつく粘りを見せ、延長十三回タイブレークの末、6―2で勝利した。宿舎ではなく、滋賀から球場入りしたナインだが、慌ただしさにのまれることなく力を発揮した。【菅健吾、中田博維】 五回まではスコアボードに0が並んだ。先発の山田は立ち上がり、安打を浴びても次の打者を三振や凡打に打ち取る冷静な投球。近江を今春卒業した、昨夏の甲子園の大阪桐蔭戦で決勝の2点適時二塁打を放った山口蓮太朗さん(18)は「守備が良いので、守りからリズムを作っていければ」と話した。 試合が動いたのは六回。長崎日大の主軸の連続適時二塁打で、2点を先取された。七回の近江の攻撃ではスタンドに一層大きなメガホンと吹奏楽の音色が響いた。応援団長の竹内草太さん(17)は「今まで以上に気持ちを込めた。1点ずつ返して逆転してほしい」。吹奏楽の指揮をする工藤優莉さん(17)は「全力で応援しようと指揮棒を振った。まだまだこれから。頑張ってほしい」と願った。 2点ビハインドで迎えた九回、打席に立った津田は初球をとらえ、右翼への二塁打でチャンスを作った。津田の父宗治さん(56)は「この調子でなんとかチームに勢いをつけてほしい」。その後、死球の走者を1人追加した状態で、岡崎が右前適時打を放ち1点を返した。岡崎の父英司さん(49)は「今まで厳しいことしか言ってこなかったけど、よくやってくれた」と感極まった様子だった。さらに大橋が右前適時打を放ち同点とし、スタンドは歓喜に沸いた。大橋の一打に父博文さん(48)は「調子が良すぎる」と驚いた様子。試合は延長戦にもつれ込んだ。 延長十回裏1死満塁と一打サヨナラのピンチを迎えたが、山田は内野フライと三振で乗り切った。山田の父斉さん(46)は「ここまで長く投げたことはなく、疲れていると思うが、よく投げている」と話した。 試合はそのまま今大会初のタイブレークに突入した。無死一、二塁から始まった延長十三回は、先頭打者の山田が三遊間を抜く適時打で勝ち越し。敵失などもあり、さらに3点追加。その裏は、山田が三者凡退に抑え、激闘を制した。近江の岩谷斉校長は「3日前に出場が決まった状況下で最後まであきらめず、良い試合をしてくれた。彼らの心意気に感動した」と目を細めた。