意外と知らない「教育委員会」どんな仕事なのか 学校への支援、民間企業との付き合い方など
ここで注目してもらいたいのは、学校を直接指導する役割を担う教育指導課です。例えば各学校が学習指導要領に従った教育計画を提出しているかどうか、チェックをするといった仕事を担当しています。 自治体によっては「指導室」とか「指導課」など他の名称で言われています。この課は行政マンよりも教員出身者が多いことも特徴で、かくいう僕自身も、目黒区教育委員会で指導主事、新宿区教育委員会で教育指導課課長などを経験しました。僕の部下の指導主事たちも全員が元教員でした。
地域の教育委員会の仕事は、各学校の指導内容を法的根拠に従って指導することです。一般的にイメージされる、管理的だったり監視したりする組織という側面もたしかにあります。 問題があれば放置せずに、校長をトップとする学校を適切に指導することが必要です。それによって子どもたちや保護者たちを守ることが、教育委員会の役割です。 ■教育委員会が秘めた可能性 「指導」の側面の他にもうひとつ、教育委員会の大事な仕事としては、学校への「支援」という側面があります。
困っている学校に対して、教育委員会が有用な支援をする。僕はこの「支援」という役割に大いに注目しました。 例えば新宿区教育委員会で指導課長をしていた時、毎年新年度になると課の全職員を集めて研修を行っていました。最も強調したのは「教育委員会は誰のために仕事をするのか」ということです。 原点を見つめると、「教育委員会は生徒、そして保護者、地域のために仕事をする組織で良い学校をつくる仕事です」ということになります。
部下たちに対しても必要に応じて、「指導」と「支援」のスイッチを切り替えましょうと僕は繰り返してきました。 何かを実施するとそれが前例になります。僕の経験を通しての偏見ですが、役所は基本的に前例を作りたがらないように感じます。 しばしば「文書に規定されていないし、前例がないからそれは無理です」という言葉が役所の中で聞かれます。役所は文書主義なので「こういう支援ができます」と文書で規定されていますが、曖昧な部分の判断については前例に委ねられてしまうわけです。