「敗れて潔し」日本ハム・新庄剛志監督が示した“ポジティブ効果”「野村克也監督がお元気なら、お小言を連発しているかも(笑)」大胆采配を解説
「野村監督がお元気なら…」
荒木氏はヤクルトでの現役時代、1990年から引退する前年の95年シーズンまで故・野村克也監督のもとでプレーしている。新庄監督も阪神での現役時代に野村監督の指導を受けているが、その「監督像」に野村監督との共通点を感じる部分はあるのだろうか。 「共通点は……見当たらないですね。野村監督がもしお元気だったら、今ごろファイターズの試合を見ながらお小言を連発しているかもしれません(笑)。野球のセオリーとか定石をすごく大事にされる監督だったので、初戦の淺間の盗塁失敗のようなプレーはあり得ないとおっしゃるでしょうね。ただ、それが今のファイターズなんですよ。新庄監督の考えは常識では計り知れないので、相手チームからしたら不気味であることは間違いないと思います」
「相手を迷わせる」新庄流
往年の野村監督は自身を「だまし屋」と称した。故・仰木彬監督が率いるオリックスとの対決となった1995年の日本シリーズでは、戦前からメディアを巧みに使って相手の主力打者であるイチローに難癖をつけたり内角攻めを予告するなど心理戦も展開した。その狙いは「相手に考えさせ、迷わせる」こと。とすれば、常識をものともしない思考回路から大胆采配を繰り出す新庄監督は、それだけで相手を「考えさせ、迷わせる」力に長けているとも言える。 「確かに普通はこの場面ならないだろうという作戦でも、新庄監督ならやってくる可能性がある。昨シーズンは、初回で無死満塁、1死満塁という場面でスクイズをさせたこともありました。例えば2死二塁という場面で、普通は盗塁への警戒はほぼしませんが、新庄監督ならあり得るかもしれない。消すことができる作戦を捨てられず、全てを想定して準備しなければいけないのは、相手チームからすると物凄く嫌だと思います」 球界の常識を覆す指揮官のもと、今シーズン最も鮮やかな活躍を見せたのは清宮だろう。荒木氏は清宮が入団した2018年から二軍監督を務め、駆け出しの時期を見守ってきた。早稲田実業の後輩でもある清宮の“覚醒”にはどのような背景があったのだろうか。(つづく)
(「プロ野球PRESS」佐藤春佳 = 文)
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