【50代に読んでほしい本】一気読みしたくなる1冊とは?
雑誌エクラで書評を担当している文芸評論家とライター、担当編集者がこの1年間に出版された本で最もおすすめしたい本を、忖度なしで厳選! 大賞に輝いたのは石田夏穂著『黄金比の縁(えん)』。 【写真】50代女性に読んでほしいおすすめ本
文芸エクラ大賞とは?
私たちは人生のさまざまなことを本から学び、読書離れが叫ばれて久しいとはいえ、本への信頼度が高いという実感がある世代。エクラではそんな皆さんにふさわしい本を選んで、改めて読書の喜びと力を感じていただきたいという思いから、’18年にこの賞を創設。 選考基準は、’23年6月~’24年5月の1年間に刊行された文芸作品であり、エクラ読者に切実に響き、ぜひ今読んでほしいと本音でおすすめできる本。エクラ書評班が厳選した、絶対に読んでほしい「大賞」をはじめ、ほかにも注目したいエクラ世代の必読書や、書店員がおすすめのイチ押し本を選定。きっと、あなたの明日のヒントになる本が見つかるはず!
第7回 文芸エクラ大賞発表!『黄金比の縁(えん)』
石田夏穂 集英社 ¥1,650 10年前、小野は株式会社Kエンジニアリングの人事部新卒採用チームの一員に。それまで花形部署の「尿素・アンモニアチーム」にいたが、「ある誠にしょうもない出来事」のためにプロセス・エンジニアとしての未来に終止符を打たれたのだ。納得できない彼女は会社へのひそかな復讐を始めるが……。就活の裏側を理系出身らしい観察眼とクールな笑いで描いた小説。
“リケジョの憂鬱”をセンスよく描いて見事。お仕事小説も相対化の時代に入った! ━━文芸評論家 斎藤美奈子 みんなが知っていた就活のうさんくささを逆手にとる発想が痛快。 ━━書評ライター 山本圭子 奇抜だがリアルな話。デビュー2年目の作品とは思えない筆力に圧倒された。 ━━書評ライター 細貝さやか 想像の斜め上をいく主人公にびっくり。“どうする、どうなる!?”と一気読み! ━━編集 K野 ▼4人の選者 文芸評論家 斎藤美奈子 本や新聞、雑誌など多くの媒体で活躍。文学や社会への的確で切れ味鋭い批評が熱い支持を集めている。 書評ライター 山本圭子 出版社勤務を経てライターに。女性誌ほかで、新刊書評や著者インタビュー、対談などを手がける。 書評ライター 細貝さやか 本誌書評欄をはじめ、文芸誌の著者インタビューなどを執筆。特に海外文学やノンフィクションに精通。 書評担当編集 K野 女性誌で書評&作家インタビュー担当歴20年以上。女性誌ならではの本の企画を常に思案中。 撮影/神林 環 スタイリスト/洲脇佑美 取材・原文/山本圭子 ※エクラ2024年9月号掲載