大学生でも「年金を納める」って知りませんでした…!今から追納した場合、将来いくら年金が増えますか?
追納によってどれくらい年金額を増やせるのか
学生納付特例制度を利用して保険料の納付猶予を受けていた期間がある方が、追納によってどれくらい年金を増額できるのか確認します。 老齢基礎年金は、国民年金の全加入期間(480ヶ月)の保険料を納めることで満額を受け取れ、令和5年度の満額は年額79万5000円となっています。老齢基礎年金の受給額の計算式は以下のとおりです。 ●79万5000円×国民年金加入期間の保険料納付月数÷480ヶ月 学生納付特例制度により、例えば2年(24ヶ月)の猶予期間があるケースでは、そのほかの国民年金加入期間(456ヶ月)の保険料をすべて納付した場合に受け取れる老齢基礎年金は年額75万5250円で、満額に対して約4万円の減額となります。 ●79万5000円×456ヶ月÷480ヶ月=75万5250円 猶予期間の国民年金保険料については、1ヶ月分を追納するごとに年金額をおよそ1656円増やせます。計算式は以下の通りです。 ●79万5000円×1ヶ月÷480ヶ月=1656円 ※1円未満の端数は四捨五入して計算 大学在学中に納付猶予を受けた2年分の保険料うち、1年分(12ヶ月分)を追納した場合、老齢基礎年金は年間で1万9872円の増額となります。もちろん2年分をすべて追納すれば、猶予期間に対する減額はなくなります。 追納を行うには年金事務所の窓口、または郵送での申請が必要ですが、追納が承認された月から前10年以内であれば猶予期間の保険料を納めることができます。そのため、大学在学中に猶予された保険料の追納は、社会人になってからでも十分に間に合います。 また、追納した国民年金保険料は全額が所得控除の対象となるので、所得税・住民税の節税効果もあります。ただし、猶予を受けた期間の翌年度から3年目以降は、経過期間に応じた加算額が追納する保険料(当時の保険料額)に上乗せされます。
まとめ
大学生でも20歳からは国民年金保険料を納める義務があり、納付が困難な場合でも学生納付特例制度を利用して猶予を受けられます。 保険料の納付猶予を受けた期間について老齢基礎年金の受給額には反映されませんが、受給資格期間には算入され、10年以内であれば保険料を追納して年金額を増やす、また満額とすることも可能です。例えば、1年分の保険料の追納によって増やせる老齢基礎年金は年額で約2万円と想定されます。 国民年金保険料を納めていない学生の方で、将来、満額の年金を受け取りたいという場合は学生納付特例制度を申請し、納付猶予を受けてから10年以内に追納することをおすすめします。 なお、納付猶予、免除申請ができるのは納付期限から2年以内の保険料に限られるので注意しましょう。 出典 日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度 日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額 日本年金機構 国民年金保険料の追納制度 執筆者:柘植輝 行政書士
ファイナンシャルフィールド編集部