反則タックル問題で日大選手が会見(全文2)コーチ「けがしたらこっちの得」
5月6日、試合当日以降
5月6日、いろいろ悩みましたが、これからの大学でのフットボールにおいて、ここでやらなければあとがないと思って試合会場に向かいました。試合のメンバー表に私の名前はありませんでした。その後の試合前のポジション練習時に井上コーチに確認したところ、今言ってこいと言われたので、私は監督に対して直接、相手のクオーターバックをつぶしに行くので使って下さいと伝えました。監督からはやらなきゃ意味ないよ、と言われました。戻った私は井上コーチに監督と話をしたこと、監督からやらなきゃ意味ないよと言われたことを伝え、さらに井上コーチに対してリードをしないでクオーターバックに突っ込みますよと確認しました。井上コーチからは思い切り行ってこいと言われました。このことは同じポジションの人間は聞いていたと思います。 そのあと、試合前の整列のときに井上コーチが近づいてきて、できませんでしたじゃ済まされないぞ、分かってるなと念を押されました。本件直後は何も考えられない状態でした。そのため、相手のクオーターバックがけがをして代わったことにも気付いていませんでした。普段の試合でこんなことはあり得ません。 本件で問題になっている1プレー目の反則行為のあと、2プレー目が終わり、コーチに呼ばれてサイドラインに戻ったときに、井上コーチからキャリアに行けと言われましたが、さんざんクオーターバックをつぶせと指示をされていたので、井上コーチの発言の意味が理解できず、再びパスをしてボールを持っていない状態の相手チームのクオーターバックにタックルをして倒し、2回目の反則を取られました。3回目の反則は、相手に引っ張られて尻もちをついたあと、相手のオフェンスのほうに行こうとした際に、正面から向かってきた相手選手を突いた行為に対して取られました。 この反則は普段から相手がつかんできてもおとなし過ぎるなどと、コーチから指摘されていましたし、やる気がないとして外されていたので、向かってきた相手選手にやられっぱなしにできないと思って意識的に行った行為でした。 退場になり、テントに戻ったあと、事の重大さに気付き泣いていたところを井上コーチに見られていました。試合後、スタメンと4年生が集められたハドルのときに監督から、こいつのは自分がやらせた、こいつが成長してくれるんならそれでいい、相手のことを考える必要はないという話がありました。そのあと着替えて全員が集まるハドルでも、監督から周りに聞かれたら俺がやらせたんだと言えという話がありました。井上コーチからは、私が退場になったあと、DLの上級生リーダーが、私に相手クオーターバックにけがをさせる役割をさせたことをすまなく思って、自分にもやらせてほしいと申し出たという話を紹介して、その上級生は自分にもやらせてくれと言ったぞ、おまえにそれが言えるのか、おまえのそういうところが足りないと言っているんだと言われ、退場後に泣いていたところについても、優し過ぎるところが駄目なんだ、相手に悪いと思ったんやろ、と責められました。 5月8日。井上コーチから午後5時ごろにグラウンドに呼び出されました。私はグラウンドのクラブハウスで待っていると先輩が来て、私の様子を心配してくれました。先輩に、もうアメフトはできないと伝えると、先輩もそうだよなと応じてくれました。そのあと学生のスタッフが来て、監督が待っているコーチ部屋に行くように言われました。当初、コーチ部屋には監督1人でした。私と監督が話し始めると、遅れて井上コーチと鈴木コーチが来て、監督との話を聞いていました。私が監督に対し、もうフットボールはできないと言うと、監督は、おまえの罰はあのとき罰退になって退場になって、お前の処罰は終わっているんだから、いい、世間は監督をたたきたいだけでおまえじゃない、気にするなと言われました。 そのあと監督は練習に出て行ったので、井上コーチと鈴木コーチの3人で話をしました。当然2人のコーチからは事実関係の確認はなく、おまえがやめる必要はないだろう、向こうとの試合がなくなろうと別にいいだろうというような話をして、退部を申し出た私を引き止めようとしてきました。しかし私としてはあんなプレーをしてアメフトを続けることはとても考えられませんでした。 5月9日。森ヘッドコーチから三軒茶屋のキャンパスに呼び出されて、やめるべきじゃない、フットボールで返していくしかない、監督が厳しく言ったことをそのままおまえに伝えたコーチに責任があると言われました。 5月11日。前日の謝罪文公表を受けて、こちらから井上コーチに連絡をして、本部にある監督の部屋で、監督と井上コーチ、私と両親で面会しました。父から個人的にでも相手方選手と家族に謝りに行きたいと申し入れたところ、監督からは今はやめてほしいと言われました。父から、監督・コーチから選手に対して、対戦校のクオーターバックにけがを負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけである旨の公表を求め、そのメモを先方に渡しましたが公表できないと断られました。 面会のあと井上コーチから父に連絡があり、理由の説明もなく、関学アメフト部の監督に謝りに行くと言われました。父がアポイントを取ってほしい旨を求め、アポイントを取ろうとしたようですが、先方から断られたと連絡がありました。しかし夜中に再度、井上コーチから父に連絡があり、謝りに行く、息子さんを行かせてくださいと言われて、関西学院大学に行くことになりました。 5月12日。謝罪のために私と井上コーチと関西学院大学を訪れましたが、再度、先方から面会を断られたため、関学アメフト部の監督にお会いすることはできませんでした。 5月14日。井上コーチから父に連絡があり、三軒茶屋のキャンパスに来てほしいと呼び出され、父と2人で訪問しました。その日はそのあと私と父が関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会で聞き取り調査を受けました。 5月16日。私は日本大学本部の【体育局 00:29:48】にチームの幹部と共に呼ばれましたが、先方がどう出てくるか分からない不安が強く、体調も良くなかったため、私は行きませんでした。 5月18日に私と父で関学アメフット部クオーターバックの選手およびご両親を訪問し、直接、謝罪の意を伝えました。 最後に、本件は、たとえ監督やコーチに指示されたとしても、私自身がやらないという判断をできずに指示に従って反則行為をしてしまったことが原因であり、その結果、相手選手に卑劣な行為でけがを負わせてしまったことについて、退場になったあとから今まで思い悩み反省してきました。そして真実を明らかにすることが償いの第一歩だとして、決意して、この陳述書を書きました。相手選手、そのご家族、関西学院大学アメリカンフットボール部はもちろん、私の行為によって大きなご迷惑をお掛けした関係者の皆さまに、あらためて深くおわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。 司会:ただ今、読み上げられた陳述書のコピーはこの会見終了後、そちらの受け付けで配布いたします。ただ今は受け付けにありません。終わってからですので、その辺をよろしくお願いいたします。それでは会場からの質問をお受けします。質問希望者は挙手して、指名された方はお近くのマイク、ちょっとお待ちください。お近くのマイク、ちょっと待ってください。進んでいただいて、お名前と社名を、所属を名乗られた上で簡潔に質問してください。質問はお1人1つ、1点でお願いいたします。 なお、当クラブの会見は会員と会員社の記者が対象ですが、本日は会見者サイドからの許可を受けられた方に限り出席を認めております。ただあくまでオブザーバーとしての出席ですので、ご質問はご遠慮ください。その辺はご理解ください。それでは挙手してください。じゃあ、そちらの方、どうぞ。マイクは後ろですね。