「S&P500」を軸に米株インデックス人気続く、「高配当株」など新ファンドも浮上 =ネット証券の投信積立契約件数ランキング24年12月
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2024年12月のトップ3は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」で前月と変わらなかった。前月に続いて「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はネット証券3社で揃ってトップになった。また、第4位に新設ファンドの「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」が、第8位にも「iFreePlus 世界トレンド・テクノロジー株(Zテック20)」が入った。前月と同様に国内株ファンドは「ひふみプラス」だけとなり、今月は金(ゴールド)に投資するファンドがトップ10からなくなった。 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。 ◆史上最高値更新の米国株インデックス 12月は6日まで「S&P500」が史上最高値を更新し、その後16日まで「NASDAQ総合」が史上最高値を更新した。ただ、年末に向けて株価は調整となり、6090ポイントの高値を付けた「S&P500」は年末は5881ポイントに、2万173ポイントの高値を付けた「NASDAQ総合」は1万9310ポイントでの越年となった。この間、ドイツの「DAX」は米「S&P500」と同様の動きをしたものの、英「FTSE」や日本の株価指数(日経平均株価とTOPIX)は史上最高値には遠く及ばない水準でのもみ合い相場に終始した。この株価指数の動きが各国の株式市場の2025年での活躍期待にもつながり、「引き続き米国株式がリードする市場になるだろう」という見方が強くなったのだろう。ネット証券3社の投信積立契約件数ランキングでも上位には米国株ファンドがずらりと並ぶ結果になった。 この米国株式市場への期待と対照的に、日本株式とインド株式への評価は下がった。トップ10に残っている「ひふみプラス」は日本株式を主な投資対象とするファンドとはいえ、純資産残高の5.31%は海外株式にも投資している。組み入れ上位銘柄の筆頭は米国株式の「ゴールドマン・サックス」だ。「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」など代表的なインデックスに連動するインデックスファンドは、10月にトップ10から外れて以来、年末にも戻ってはこなかった。 また、年前半にパフォーマンスの高さが注目されたインド株ファンドは、一時はトップ10に2本のファンドがランクインすることもあったが、12月には第4位に「iFreeNEXT インド株インデックス」を残すのみになった。8月以降にインド株式市場の上昇勢いが鈍化したことが人気を冷ますことにつながったようだ。また、11月には第10位に「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が入っていた金(ゴールド)を投資対象にするファンドは12月にはトップ10圏外に後退した。金価格は10月末までNY金先物市場で最高値更新が続いていたものの、その後は調整局面に入ったことなどもあってゴールド・ファンドの人気も続かなかった。 ◆12月の新設ファンドがトップ10入り 12月20日に新規設定されたばかりの「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」が第4位になった。年明けの1月7日時点では純資産残高が793億円を超えている。同ファンドは、「シュワブ米国配当株式ETF(SCHD)」を投資対象とする低コストのインデックスファンドで、米国の配当利回りが高い100銘柄で構成され、米国株式の値上がり益と配当の両面のメリットを享受することをめざす。信託報酬は実質年0.1238%(税込み)。 「SCHD」の組み入れ上位銘柄は、医療関連の「ファイザー」、同「アッヴィ(ABBV)」、飲料会社の「コカ・コーラ」、IT・通信の「シスコシステムズ」、金融の「ブラックロック」などとなっており、「S&P500」の組み入れ上位を占めるハイテクジャイアントの「マグニフィセント・セブン」(アップル、アマゾン、マイクロソフト、エヌビディアなど)とは異なる銘柄群だ。割高の指摘が続いている「S&P500」に投資することをためらう投資家、また、「S&P500」を保有している投資家のリスク分散の手段としても活用されそうだ。 また、「iFreePlus 世界トレンド・テクノロジー株(Zテック20)」も12月11日に新規設定されたばかりのファンドだ。日本を除く世界の株式市場に上場しているテクノロジー企業の中から、時価総額の大きい20銘柄に時価総額に応じて投資する(中国、ロシアを除く)。信託報酬は年0.495%(税込み)。純資産総額は1月7日時点で61億円超だが、積立投資の対象として注目を集めた。組み入れ上位にはアップル、マイクロソフト、エヌビディアなど米国のテックジャイアントが並ぶが、台湾のTSMCやユーロのASML、ドイツ(クセトラ)のSAP、韓国のサムスン電子なども投資対象になる。米国のテックジャイアントで構成された「FANG+」とはやや異なるリスク特性のあるテクノロジーファンドとして評価されそうだ。
ウエルスアドバイザー