関東・東北豪雨1か月 「1000万人都市」東京都の水害対策は?
「少しでも家に」は逃げ遅れの危険
避難訓練や避難所の整備などのソフト面は、市町村や23特別区など基礎的自治体が担当しています。区内全域がほぼゼロメートル地帯になっている江戸川区は、人口68万を擁する自治体です。全区民が避難できる施設を整備していますが、一部は屋外施設で、すべての区民を屋内に収容できないのが現状です。 さらに行政が盛んに避難を呼びかけても、実態は思うように住民が避難してくれないケースも多いようです。今回、宮城県仙台市では避難勧告に従って避難所に移動した市民はわずか約1%だったといわれます。これは一体、どういうことなのでしょうか? 「風水害の場合、雨の中を移動したくないという思いが強いのでしょう。面倒な思いをしても、結局、何も起きなかったら…と、ギリギリまで避難せずに家にいようと考える人も多いのです。しかし、床下浸水でも自動車の移動は困難になり、床上浸水では家を出ることも難しくなります。少しでも家に……という考え方は逃げ遅れる可能性が高まります。少しでも、早めの行動が肝心です」(同) その一方、今回の水害では常総市の避難指示が遅れたことが指摘されています。基礎的自治体は全住民を安全に避難させる使命を負っていますが、避難指示を出すタイミングはどこの自治体にも共通した悩ましい問題のようです。 地震に比べると、風水害は事前に予測しやすい自然災害だといわれています。常日頃から食料や水を備蓄しておくことは、大事なことだと分かっていてもなかなかできません。自分の身を守るために、せめて避難路や最寄りの避難所の確認と早めの避難は心掛けたいものです。 (小川裕夫=フリーランスライター)