将来「遺族年金」が5年で打ち切りになるって本当ですか? 受給額は“無期給付”の現在と比べ、どれだけの差になるのでしょうか? これまで専業主婦だったので心配です…
厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて
5年の有期給付になったらどれだけ受給額が変わる?
遺族厚生年金の給付が5年間の有期給付に変わった場合、専業主婦であった場合には受給金額にかなりの差が出ることは確かです。仮に30歳で夫を亡くしたときの厚生年金受給見込み額が16万円で、妻が平均的な寿命まで生きたとした場合、数千万円の違いが出る可能性があります。 【妻30歳(子なし)で夫が死亡した場合】 厚生年金額の3/4:16万円×3/4=12万円 12万円×12ヶ月=144万円 (1)5年間の有期給付 144万円×5年=720万円 (2)無期給付(現制度) ・女性の平均余命である87歳まで57年間受給と仮定 遺族厚生年金:144万円×57年=8208万円 中高齢寡婦加算:61万2000円×25年=1530万円 合計:8208万円+1530万円=9738万円 ※夫の厚生年金計算方法の詳細は複雑なので割愛し、仮の金額で計算しています。経過的寡婦加算なども考慮していません。また、妻自身の厚生年金受給額などによって金額が変わることがあります。
今後の議論を正しく見守ることが重要
冒頭で述べたとおり、まだ議論の段階であり、正式に決定していることはありません。また、これらの変更は、時間をかけて段階的に進められるようなので、現時点では大きな心配をすることはないかもしれません。 遺族年金制度が変わる理由でもお伝えした通り、今回の見直し案は時代に即した内容に対応するための変更です。本記事では取り上げませんでしたが、収入要件が廃止されたり、残されるのが夫側の場合を想定し支給対象が拡大するなど、すべてが「改悪」とは言い切れません。 男女の賃金格差や、育児のための離職率、その後の再就職など懸念点はありますが、このトピックが気になる人は、今後の議論の内容や方向性を注視していくのが良いかもしれません。 出典 厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて 執筆者:御手洗康之 CFP、行政書士
ファイナンシャルフィールド編集部