生活保護を受給していた78歳の父が“腐敗した状態”で発見。納骨までにかかる「驚きの金額」と、実娘が知った福祉葬の実態
「親族の誰かが引き取りに」福祉葬の現実
「よく生活保護を受けている人が、お骨の引き取り手がいないと言いますが、ほとんどの場合は親族の誰かが引き取ります。生活保護受給者だったとしても、親族など誰かしらが関わっていて、完全に孤立しているケースは少ないです」 筆者の場合も、父は生前、娘の筆者と孫と最期まで交流があった。骨は分骨し、自宅に保管している。 「変死自体が少ないです。僕の感覚では、病院以外・医者が立ち合っていないなどの“変死”の割合は、全体の5%くらいです。その中でも、DNA鑑定が必要なケースは、さらに5%くらいでしょう。ほとんどの場合は、そこまで行く前に発見されます。生活保護受給者が孤立しないよう、実際に関わっている民生委員に予算を割くほうが独居死・変死対策になります」 民生委員とは、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員で、住民の生活や福祉に関する相談に応じ、社会福祉の増進に努める役割を担っているが、ボランティアだ。 筆者の父は“独居死”したが、生まれ育った場所で、死にたいと願っていた父には地域の人や定年退職した会社の同僚や部下が多数、焼香に訪れた。その死は、決して孤独ではなかった。死者の尊厳のためにも、正しい理解が広がることを願う。 <取材・文/田口ゆう> 【田口ゆう】 ライター。webサイト「あいである広場」の編集長でもあり、社会的マイノリティ(障がい者、ひきこもり、性的マイノリティ、少数民族など)とその支援者や家族たちの生の声を取材し、お役立ち情報を発信している。著書に『認知症が見る世界 現役ヘルパーが描く介護現場の真実』(原作、吉田美紀子・漫画、バンブーコミックス エッセイセレクション)がある。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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