EU、環境分野で中国投資が過去最高に ドイツ自動車大手、対中依存脱却進まず 4~6月
【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)の中国の環境産業への投資が今年第2四半期(4~6月)に36億ユーロ(約5940億円)にのぼり、過去最高となったことが分かった。EUは重要産業で対中依存からの脱却を掲げるが、ドイツ自動車大手の中国進出熱は止まっていない。 この統計は、米調査会社ロジウム・グループが10月31日の報告書で発表した。電気自動車(EV)など環境分野でEU投資は2019~22年の3年間の四半期平均(12億5000万ユーロ)から3倍近くに増えた。環境投資に牽引(けんいん)され、EUの対中投資は総額38億ユーロ(約6270億円)となり、過去10年で2番目の高水準となった。このうちドイツ企業は57%を占めた。投資額の上位5社のうち3社はドイツ企業で、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とBMW、化学大手BASFだった。 ドイツはEU方針に沿って昨年、初の対中戦略を策定した。だが、ロジウム・グループは「政府は決定を企業に委ね、圧力をかけない」ために中国依存からの脱却が進まず、日米や欧州の近隣国との差異が広がっていると指摘。ドイツの対中依存は、EU政治の足かせとなる可能性があると分析した。