函館本線・森駅開業120周年! 名物駅弁「いかめし」はどんな人たちが作っているのか?
●じつはキャディさんと兼業? いかめし職人さんの素顔
―百貨店の催事は、だいたいどんなスケジュールで実演販売を行っているんですか? 今井:毎年1月の京王百貨店新宿店から始まり、大阪・阪神百貨店、熊本・鶴屋百貨店と、2月まで「駅弁大会」が続きます。3~5月は春の北海道物産展が各地で行われます。夏場は食品衛生上の観点から催事は休みで、9~10月にかけて秋の北海道物産展がピークを迎えて、年末の北海道物産展へと続きます。私もできるだけ催事に行っています。父の代から東京に拠点を置いているのも、催事でのトラブル対応に備えたものなんです。 ―ご苦労も多いと思いますが、催事スタッフの皆さんは、どんな人たちですか? 今井:基本的にはパート勤務で15~20人くらいの北海道出身メンバーで構成しています。森町をはじめ函館や札幌の方もいます。昔からゴルフ場のキャディさんと兼業されている方が多いです。夏はゴルフ場で働かれて、雪で閉ざされる冬はいかめしの実演部隊としてホテル暮らしを続けながら、全国を回ります。子育てが終わった60~70歳代がメインで、いちばん若手が40歳代なので、スタッフの体調面や後継者がいないことが、いまの悩みです。
●レトルトタイプも人気の「いかめし」!
―社長就任から3年半あまり、コロナ禍の厳しい時期でしたが、感想はいかがですか? 今井:父の代とは経営体制も変わっていますので単純比較はできませんが、まだまだだと思います。改めて、会社はいろいろなポジションの人がいて初めて成り立っているのだと肌で感じましたし、「職人さんに気持ちよく働いてもらう」ということをこんなに考えたことは、いままでありませんでした。ただ、会社の流れはだいたい掴めたと思うので、今後は伝統を受け継ぎながら、時代の変化に会社をどう対応させていくかがカギだと思っています。 ―経営体制が変わったという点では函館の三浦水産さんとタッグを組まれていますね? 今井:不漁が続くイカの安定供給という大きな課題もあって、令和2(2020)年からお世話になっています。保存が効くレトルトの「いかめし」(2~3個入、1188円)は、函館の工場で製造しています。レトルトの「いかめし」は、大変ご好評をいただいていて、本当に大きな力になって下さっています。この他、父の代から取引のある業者からも引き続きイカを仕入れています。