須田寛さん

　旧国鉄の分割民営化後、ＪＲ東海の初代社長を務めた須田寛（すだ・ひろし）さんが13日、老衰のため死去した。93歳。京都市出身。葬儀は近親者で行った。後日、お別れの会を予定している。 　１９５４年京大卒。旧国鉄に入社し、常務理事などを歴任した。旅客畑が長く、「青春18きっぷ」など多くの人気商品の企画に関わった。 　国鉄分割後の87年４月にＪＲ東海初代社長に就任。元運輸官僚が社長を務めたＪＲ東日本と西日本とは異なり、本州３社の中で旧国鉄から唯一の起用となった。 　92年には東海道新幹線の「のぞみ」を導入し、東京―新大阪間の所要時間を２時間49分から２時間半に短縮するなど、利便性の向上にも努めた。95年に会長に就き、98年からは約６年間、ＮＨＫ経営委員長を務めた。 　２００７年からは鉄道愛好者団体「鉄道友の会」の会長を務めたほか、歴史的な車両などを保存するＪＲ東海の「リニア・鉄道館」の開業にも力を入れた。12年に旭日大綬章受章。

　須田氏は２０１０年６月１日から７月９日まで、本紙の連載企画「マイウェイ」を執筆した。 かけがえのない存在／名商の嶋尾会頭 　ＪＲ東海の須田寛さんの死去を受け、名古屋商工会議所の嶋尾正会頭は23日、「観光産業の振興に対する強い意志と精力的な活動は、観光立国を目指す日本にとってかけがえのない存在であり、その功績は計り知れません」とコメントし、故人をしのんだ。須田さんは名商で文化・観光委員会委員長を１９９７年から２０１７年まで務めたほか、交通運輸部会長などを歴任した。