「待機児童ゼロ作戦」から13年 待機児童問題はなぜ解消されないのか
東京都知事選で争点の一つともなっていた待機児童問題。舛添要一都知事は、「4年で待機児童ゼロ」を公約として掲げています。「待機児童ゼロ作戦」が閣議決定されたのは2001年7月のことですが、10年以上経過する今でも待機児童数は減っていません。現状ではいったい、何がどのように問題なのでしょうか。
いったんは「待機児童ゼロ」を達成した横浜市
昨年、林文子市長の公約だった「待機児童ゼロ」達成を発表した横浜市。しかし、林市長は2月19日の会見で、「保留児童」の数が前年から751人増の3353人となったことを発表しました。今年「待機児童ゼロ」を目指すのは「昨年より相当厳しいが、ゼロを目指して最後の最後まで一人一人と向き合う。懸命に努力する」(産経ニュースより引用)としています。 いったんは「待機児童ゼロ」を達成したのにも関わらず、なぜ厳しい状況となってしまったのでしょうか。これには、「潜在的待機児童数」が多いことが原因のひとつと考えられます。潜在的待機児童とは、入所できる数が少ないために、そもそも入所希望を出さずに諦めている家庭の児童です。例えば、都市部では入所希望数が多いため、認可保育所にはフルタイムで働く正規雇用の人が優先され、非正規雇用で働く母親らは始めから無理と諦めてしまうケースが多いのです。厚生労働省の発表によれば、2012年の全国の保育所定員数は224万178人で、4月1日時点での待機児童数は2万4825人 。しかし、潜在的待機児童数は65~80万人 、首都圏だけで25~30万人にも上るという推計もあります。 国は保育所を増やし続けていますが(2005年定員=205万2635人、2012年=224万178人(※1)、現状では定員を増やすにつれて入所希望数も増える、という状況です。待機児童数ではなく、潜在的待機児童数を見据えた対策が求められています。 ※1…2008年に厚生労働省が発表した「新待機児童ゼロ作戦」では、2017年までの10年間で受け入れ児童数を100万人増やすという目標を設定していた 。