長野のマツザワ、捨てられていた摘果リンゴを国際コンテスト「3つ星」銘菓に
■新商品も開発し摘果リンゴのさらなる活用へ
――農薬の問題はクリアしましたが、廃棄されていたリンゴを使うことで「りんご乙女」の評判が下がることはなかったのでしょうか。 森本:それがなかったのです。先に述べたベルギーの味覚コンテストでは摘果リンゴに切り替えた2011年以降も「3つ星」が続き、24年で16年連続受賞となりました。審査は毎年異なるシェフやソムリエが世界じゅうから選抜され、目隠し方式で行います。第三者の厳しい目で味覚と品質が証明されたのは、一つの自信につながりました。 「りんご乙女」の生地に使う小麦粉も海外産から長野産に切り替え、砂糖や鶏卵などの主要な原材料はすべて国産品で賄っています。小麦を切り替えた直後に、ウクライナ戦争による小麦不足や価格高騰が起きました。安定生産・安定供給のためにも、国内での原材料調達が重要と認識させられました。 ――摘果リンゴや地産原料の活用が、新しい価値を生み出していますね。 森本:2023年に新商品のアップルパイを発売しました。こちらには「りんご乙女」には使えない72ミリを超える摘果リンゴを使用しています。こうして商品のバリエーションを増やすことで、地域の食品ロス解消や一次産業の振興に少しでも貢献できればと思います。 土産(みやげ)は「土から産まれる」と書きます。マツザワは1959年の創業以来、土産品の総合企業として商品の企画から流通、販売までを一貫して行なってきました。これからも土地の産物を活かして、地域の活性化や連帯感を強めていけると良いですね。