【石破氏はなぜ負けた】「敵はもっと近くに置け」ゴッドファーザーは言ったのに…ブレない異端者がブレ、失った信用
(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表) ■ 「敵はもっと近くに置け」って… 【写真】『「味方は近くに置け。敵はもっと近くに置け」って、ゴッドファーザーも言ってんだろう』…。ドラマ「ドクターX」でそう語った西田敏行さん 『「味方は近くに置け。敵はもっと近くに置け」って、ゴッドファーザーも言ってんだろう』 最近お亡くなりになった西田敏行さんがドラマ「ドクターX」で語るシーンがある。アル・パチーノ演ずるマイケル・コルレオーネが「ゴッドファーザーPART 2」で言ったセリフだ。 今から12年前の総裁選で安倍晋三氏は石破茂氏に大逆転勝利したが、大嫌いだった石破さんを幹事長に起用し、長期政権の基を作った。石破さんは結局、封じ込められ、次の総裁選には出られなかった。 石破総裁には高市早苗幹事長という選択肢もあったはずだが、総務会長をオファーしてあえなく断られる。最初から「敵はもっと近くに置け」という発想はなかった。 選んだ幹事長は、郵政民営化に反対し、無所属立候補の経験を持つ森山裕氏。高卒のたたき上げながら税調のインナー。党内外の人望も厚く、うってつけの人事と思われた。
■ 非公認組への2000万円がダメ押しに 森山幹事長は早期解散や小泉進次郎選対委員長とともに作った裏金議員の非公認枠を広げる案で石破総理を説得。森山幹事長主導の温情主義で、非公認組に公認組と同じ2000万円の活動費を配った。 これらすべてが裏目に出た。特に、2000万円がダメ押しとなって、自民党は56議席減の191議席と15年ぶりの大惨敗を喫した。 比例も533万票減の1458万票。自公合わせても過半数に18議席足りない215議席。 小泉選対委員長の辞任では済まない。最低でも幹事長辞任は不可避、石破総理が退陣してもおかしくない結果である。 しかし、石破さんも森山幹事長も開票途中で早々と続投を表明。辞めない森山幹事長が今や鉄壁の防波堤となって石破政権を守っている。 首班指名は一回目の投票では決着がつかず、1位2位の決戦投票になる見込みだ。第二回投票で野田佳彦立憲民主党代表が1位になる可能性はない。したがって自民が割れなければ石破政権は継続する。 共同の世論調査でも内閣支持率は32.1%と低いが、石破総理が辞める必要はないが65.7%と出た。 なぜ、こんな選挙結果になったのか?