ゴルフと並列の新提案? 眺めても座っても、運転しても「イイ感じ」 キアEV3へ韓国で試乗
ゴルフと同じ予算で選べるバッテリーEV
この数週間前に、筆者は小改良後の8代目フォルクスワーゲン・ゴルフへ試乗した。150psを発揮するディーゼルターボが載っていて、素晴らしい仕上がりだった。欧州で愛されてきたファミリーカーらしい、新世代だと思った。 【写真】眺めても座っても、運転しても「イイ感じ」 キアEV3 近似サイズの電動SUVはコレ (178枚) その英国価格は、3万4110ポンド(約655万円)。この10年で、約1万ポンド(約192万円)上昇している。対して今回試乗したバッテリーEV、キアEV3は3万2995ポンド(約634万円)から。同等の予算で選べるコンパクト・クロスオーバーだ。 駆動用バッテリーの容量は、ベースグレードのエアーでも58kWhある。航続距離は429kmがうたわれる。3000ポンド(約58万円)予算を増やせば、81kWhへ増量。1度の充電で598km走れる能力が手に入る。 スペック的には、EV3へ弱点のようなものは見当たらない。プラットフォームは、同グループ内のヒョンデ・アイオニック5も採用する、E-GMPアーキテクチャの縮小版。サスペンションは前がマクファーソン・ストラット式、後ろがマルチリンク式になる。 電動パワートレインの稼働電圧は、800Vではなく400Vと異なる。それでも、約10年間に及ぶ技術進歩と、幅広いモデル展開によるスケールメリットの効果で、秀でたコストパフォーマンスが叶えられている。 ディーゼルターボが良ければゴルフを、電気モーターが良ければEV3を、といった感覚で選んでも大きな後悔はしないように思う。グレートブリテン島では、ディーラー網も充実している。
運転体験も内燃エンジンのクルマと横並びに
EV3の寸法は、全長が4300mm、全幅は1850mm、全高が1560mmで、大きさもゴルフとほぼ同じ。キアは、同クラスのモデルとしてニロも擁する。こちらにもバッテリーEV版があるものの、プラグイン・ハイブリッドが今後の主力になるのだろう。 駆動用モーターは当面シングルで、最高出力は203ps、最大トルクが28.8kg-m。2026年にはツインモーターの四輪駆動版も登場予定で、パワフルなEV3 GTも控えている。 今回試乗したEV3は、81kWhと大容量なGTライン。高効率なヒートポンプ式エアコンが標準装備になる、GTライン Sがこの上に存在するが、エントリーグレードのエアーでも、必要な装備はほぼ網羅されている。 ダッシュボード上のタッチモニターに、ヒーター内蔵ステアリングホイール、無線対応のアップル・カープレイとアンドロイド・オート、バックカメラ、オートライトとワイパーなどが共通で備わる。従来のキアと比較してかなり有能な、運転支援システムも。 EV3の強みは、コスパだけではない。運転のしやすさも、それに加えられる。価格や装備だけでなく、内燃エンジンのクルマと運転体験でも横並びだといっていい。 発進させてみれば、快適で心地良いと実感できる。パワーデリバリーの調整は巧妙で、アクセルペダルを踏んだぶんだけパワーを引き出せる。背中がシートへ押し付けられるほど強力ではないが、高速道路での追い越しも余裕でこなせる。