今日開幕。夏の甲子園で名スカウトが気になる逸材スラッガー9人
三塁手にも片岡氏が注目の大型スラッガーが4人もいる。 智弁和歌山の林晃汰、二刀流の花咲徳栄の野村佑希、木更津総合の野尻の2人に、折尾愛真の松井義弥の4人だ。片岡氏は「中でも林の長打力はズバ抜けている」と評価した。 センバツ準Vの智弁和歌山の3番打者で準々決勝の創成館戦では一発を放ち通算49本。県大会では一発こそなかったが、打率.412と存在感を示した。 「野村の三塁守備はまだ危なっかしいが、バッティングはコンパクトで右に打てるのが特徴。野尻は、打てるポイントが広く対応力を感じる」 野尻は東千葉大会の準決勝・東海大市原望洋戦でサイクル安打を記録している。 「面白いのは、初出場の折尾愛真の松井。荒削りだが超大型。身長が191センチとでかい割にバットの出が非常に柔らかい。ドラフトでは素材重視の順位になるだろうが、私がスカウトなら押さえておきたい選手」 松井は、名前が一緒であることも手伝って「福岡のゴジラ」との異名をとるスラッガー。県大会では1本塁打に終わっているが、マウンドに立てば140キロ、足も50メートル6秒2と速く、そのポテンシャルにプロのスカウトは熱い視線を送っている。 「もう一人私が注目するのは横浜の万波。一時、ベンチ入りが危ぶまれ背番号も13をつけているが、南神奈川の決勝の鎌倉学園戦でハマスタのレフト中段まで運んだ本塁打には驚かされた。楽天のオコエより一回り大きいスケール感がある。ただ名門の横浜が彼に一桁の背番号を与えないのは練習態度などによほどの問題があるのかもしれない。プロスカウトは、そういう理由を執拗に調査するが、甲子園は評価を一変させる大きなチャンスだ」 片岡氏は、南神奈川大会の一次登録ではメンバーから外れていた横浜の万波中正が甲子園でどんな活躍をするかにも注目している。 「野手ビッグ3」を軸にした野手にプロスカウトが目を向ける大会だが、当然、投手にもドラフト候補がいる。映像をチェックしながら有力ドラフト候補に次から次へと“ダメ出し”を出していった片岡氏が、投手で唯一名前を挙げたのが金足農業の右腕、吉田輝星だ。県大会では、5試合を一人で投げきった。防御率は1.05で43イニングを投げて57奪三振で、最速は150キロをマークしている。フォーム全体が沈みこむように安定していてリリースポイントが前でボールが低めに集まる。 「球筋がピッチャーらしく、コントロールが安定している。ボールの球質がいい。フォームの安定と腕の振りが、そういうピッチングにつながっているのだろう。今大会の中の3年生投手では吉田がナンバーワン」 記念すべき100回大会でプロ野球スカウトの評価を勝ち取るプレーヤーは誰になるのだろうか? 優勝の行方と夏の甲子園で注目しておきたいポイントである。