相撲界の“新しい地図”平戸海 猛稽古で“土の匂い”のする力士に…元大関・琴風の目
◆大相撲 ▽夏場所9日目(20日、東京・両国国技館) 平戸海が首位を走る大の里を止めた。鋭く踏み込んで左前まわしをつかみ、相手得意の右差しを封じて前進。一気に押し出した。 * * * 平戸海の会心の一番。低い立ち合いから左前まわしを取った。大の里の腰が浮いて棒立ちになったところを一気に前に出た。 中学を卒業して角界の門を叩き、コツコツと努力してきた。大好きな力士である。私が提唱している“新しい地図”の重要なピース。178センチ、138キロと体は大きくないが、愚直に前に出る。師匠の境川親方(元小結・両国)の教えに素直に従っている姿勢にも好感が持てる。境川部屋伝統の猛稽古から“土の匂い”のする力士に成長した。 大の里の敗因は明白である。立ち合いの後、すぐに引いてしまった。8日目に大栄翔をはたき込みで破った一番が伏線になっている。「楽に勝つ」ことを体が覚えてしまったのだ。私は「楽に勝つ」ことを「毒を飲む」と表現した。少しずつ毒が回ってきたのか。10日目は押し相撲の豪ノ山が相手。同じようなことが起これば重症と言わざるを得ない。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)
報知新聞社