【有馬記念】最終追い切りで深まった戸崎の“自信”が歴史的なレガレイラの3歳牝馬Vを導いた!
<有馬記念>◇22日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走15頭 歴史は塗り替えられた! 昨年のホープフルSを制したレガレイラ(木村)が鼻差の接戦を制し、60年スターロツチ以来、3歳牝馬として64年ぶりの有馬記念制覇を果たした。勝ちタイムは2分31秒8。初コンビを組んだ戸崎圭太騎手(44=田島)は14年ジェンティルドンナ以来10年ぶり2度目の勝利に喜びをかみしめた。 春は牡馬相手のクラシックに挑み、今年ここまで4戦未勝利だった名牝がその鬱憤(うっぷん)を年末のグランプリで晴らした。 ◇ ◇ ◇ 「必死でしたね。気持ちで負けないように、と追いました。最後は全く分かりませんでした」。4角手前からしきりに手綱を動かしてレガレイラを鼓舞した戸崎騎手は無我夢中だった。外から迫る3歳年長のシャフリヤールとの一騎打ちも、3歳牝馬の若きパートナーは決してひるまず決勝線手前でグイッと鼻面を前に出した。 戸崎騎手 よくしのいでくれてレガレイラの力に感謝しています。出負けしたけど二の脚でスムーズに位置を取れて、リズム良く気持ち良く走ってくれた。手応えも十分にあったし、あとは伸びるだけと思っていました。 最終追い切りにまたがった鞍上は自信を深めていた。二の脚の速さ、操縦性の高さ、走りのバランス、コンディションの良さを確認。発馬や走りのバランスに課題のあった馬だが、「何の問題もないですね。すごくいい馬。ホープフルはとにかく強いというイメージ。あの瞬発力はすごかった。気分良く走らせられれば力を出せると思う。楽しみしかない」と良質なイメージは膨らませていた。能力を信じ、自信を持って序盤から促し、好位のインを取り切った。レース直前の初コンタクトが64年ぶり偉業達成の確かな契機となった。 鞍上にとって有馬記念制覇は14年ジェンティルドンナ以来10年ぶり。その間に6度挑戦したが、掲示板に載ることすらかなわなかった。「自分の中ではその年(14年)にG1を勝てていなくてもうひとつだな、と。プレゼントしてもらった思いでした。以前は気持ちだけで乗っていましたが、体のことも考え、いい感触を得ながら乗れている。がむしゃらにうれしいというよりかみしめる喜びがあります」。今年は騎乗スタイルにも手応えをつかみ、ここまで満足いく勝利数も挙げられた。達成感は10年前とはひと味違う。 64年ぶりにジンクスを打ち破り、レガレイラは来年さらなる高みを目指す戦いに挑む。「本当にもう可能性しかないですね。まだまだ成長します。今後はいろいろプランが立てられると思うので活躍してほしい」。鞍上はさらなる飛躍を断言する。歴史を変えた天才少女の展望は無限大だ。【井上力心】 ◆レガレイラ ▽父 スワーヴリチャード▽母 ロカ(ハービンジャー)▽牝3▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 木村哲也(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 8戦3勝▽総獲得賞金 6億3438万1000円▽主な勝ち鞍 23年ホープフルS(G1)▽馬名の由来 ポルトガル中西部の都市シントラにある宮殿