Jのトレンド戦術で上位進出へ ポゼッションと決別の今…町田、鹿島と異なる王者の「機能美」【コラム】
次節から上位陣との3連戦…J1王者・神戸の運命は?
神戸と類似したスタイルで戦う上位チームと比較すると、濃野公人と安西幸輝の強力なサイドバック(SB)を有する鹿島は、敵陣深くに侵入して中央へとラストパスを送るまではセオリーどおりだが、ゴール前での攻防では鈴木優磨のその場面における独創的なプレーがゴールゲッドのチャンスを作り出している。この強心臓のFWの存在が非常に大きい。 神戸の場合は大迫勇也と武藤嘉紀というスター選手がいながらも、その崩しは鹿島より戦術に忠実で組織的だ。 今シーズンのリーグを席捲する新鋭の町田となると、特出したスター選手がいないだけに、神戸よりも組織での崩しを強く意識した戦い方を見せる。こうした相違は基本スタイルから派生した、チームを構成するメンバーに沿った戦い方であるため、どの方法が正しいというものではない。なにより結果を出しているのだから、3チームにとって正しい戦い方と言える。 奇しくも次節から今シーズンの上位を占めるチームとの連戦が組まれている神戸。好調の宇佐美貴史がチームを牽引するガンバ大阪、町田、そして鹿島戦での結果によって、リーグ連覇への道に暗雲が立ち込めるのか、それとも光が灯るのかが見えてくる。神戸にとって重要な3連戦だ。 [著者プロフィール] 徳原隆元(とくはら・たかもと)/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。80年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。
徳原隆元 / Takamoto Tokuhara