埼玉大は入試で2年前と同じ問題を出題…その狙いは? 今後も過去問の活用が増える根拠
受験生の見極め?
とはいえ、今回の埼大は、直近の自大学入試問題がそのまま活用された分、反響も大きかったようだ。 「さすがにちょっとびっくりしたというのが正直なところ」と話すのは、受験問題に詳しいAll About学習・受験ガイドの伊藤敏雄氏だ。 「travelingという単語が2年前は英国綴りのtravellingだったと聞いたので、問題はチェックした上で意図的に出したのだろう」と伊藤氏は推測。「英語の問題はさまざまなところから題材を持ってこられるが、テーマによっては内容が似通ったものになることもある」とした上で、直近の自大学の問題をそのまま活用した点に注目。「自大学の過去問をしっかりやれ、という大学からの受験生へのひとつのメッセージなのではないか」との見方を示す。 過去問に受験生が接する状況について「かつてに比べるとネットなどを通じ、いくらでも容易に手に入る状況なので、古い過去問を出しても面白いはず」と解説し、「2年前の問題ならほとんどの受験生がやっているだろうし、不公平感もない。ただ過去問に当たるだけではなく、受験生自身が問題をきちんと分析した上で答えられているかどうかを問うたのではないかと感じる」と話す。
増える? 過去問活用
宣言に参画していない旧帝大では「大学の先生の専門の内容が入試問題に出ることも多い。ただ問題を解くだけではなく、大学がどんな学生に来てほしいかが如実に出ている」とし、大学によってそれぞれの出題傾向があると説明。宣言参画大学間では「出題傾向が似た大学などもあるはずで、そうした大学間では過去問の活用もしやすいはず」とみる。 「大学としては受験問題に差をつける選別性を入れなくてはいけない半面、きちんと受験者の学力を測らなくてはならない面もある。そのバランスがうまく取れていない大学は多い印象だ」と伊藤氏。「そうした目的に適う入試問題を作るには時間と労力がかかる。規模の小さい地方の私立大学などは問題作成に困っているのではないか。他大学の過去問を参考にしながら入試問題が作られることは今後も実態として増えていきそうだ」と話している。 デイリー新潮編集部
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