モーガン・プラスシックス 詳細データテスト 操縦性はクラシックとモダンの中庸 侮りがたい動力性能
はじめに
モーガン・モーター・カンパニーは、見た通りの会社ではない。大半を所有するのはイタリアの会社で、CEOもイタリア人。エンジンはドイツ製だ。フレームのアッシュウッドは、レスターシャーの森から切り出してはいるのだが。 【写真】写真で見るモーガン・プラスシックスとライバル (16枚) 変わらないものもあるが、モーガンが得意とする古き佳き英国車の世界の片鱗を提供し続けるためには、時代に合わせて変化しなければならないものもある。結果、現在のモーガンは、見た目よりずっとモダンなものとなっている。 そうは見えないだろうが、2020年登場のプラスフォーとプラスシックスは全面新設計で、アルミ接着スペースフレームとエミッションに配慮したBMW製エンジンを採用した。 モーガンは主要メーカーのようなフェイスリフトは行わないが、過去4年間に数多くの改良を実施している。その中には、われわれが初期モデルの試乗で指摘したものも含まれる。 2020年8月には、発売直後のプラスフォーをテストしているが、340psの6気筒を積むプラスシックスを本格的に計測するのは初の試みだ。その実力やいかに。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
接着剤とリベット組み上げたアルミスペースフレームを、モーガンはCXプラットフォームと名付けた。CXとは、自社の110周年を、ローマ数字的に表記したものだ。ただし、アルミのボディパネルはアッシュウッドのフレームに取り付けられる。モーガン特有の曲線を生み出すには、木材がベストな素材だというのが理由だ。剛性は、すべてシャシーが担う。 パッと見、4気筒のプラスフォーも6気筒のプラスシックスも変わりないように映るかもしれないが、プラスシックスのほうがワイドだ。それも、単にトレッドを拡げただけではなく、キャビンの広さも増している。拡大されたホイールサイズも、プラスシックスの識別点だ。 エンジンはBMW製で、プラスフォーが2.0LのB48、プラスシックスが3.0LのB58だ。B58は230iやM240iに搭載される直6ユニットだが、モーガン向けはややデチューンされている。 この数年で、大幅な改良は2度行われている。まずは2021年、フードを扱いやすく再設計し、オプションにコンフォートプラスシートやスポーツエキゾーストを追加。USBポートの増設も可能になった。次に2023年、インテリアの改修と、シャシーの大規模な改良を実施した。 サスペンションは以前と同じく前後ダブルウィッシュボーンだが、ダンパーとブッシュは変更され、よりしなやかに。フロントブレーキもアップグレードされてAPレーシング製を採用し、ディスク径は315mmから332mmに拡大した。 さらに、コンチネンタルと共同で、トラクション/スタビリティコントロールシステムを開発。ローンチ時から装備されていたABSに加えて装備された。しかも、ダッシュボードを手直しして左右エアバッグを搭載。現代のモーガンは、安全性も高まっている。