【1ヶ月を切る】2024年10月から「パートでも週20時間勤務」で扶養除外、社会保険加入へ。改正後の新ルール3つを解説
社会保険義務化の背景と主婦年金の廃止案
政府が社会保険の加入義務適用を拡大している理由には、以下のようなことが挙げられます。 ・社会保障を充実させるため ・多様な働き方に対応するため ・主婦年金の廃止を検討しているため パートやアルバイトで働く人は、要件を満たさない限り厚生年金保険や健康保険に加入できません。正社員であれば社会保険に必ず加入することになるため、出産時や病気になったときの手当や、老後の年金受給額に格差が生じます。社会保険に加入して誰もが平等な社会保障を受けられるよう、社会保険の適用拡大を進めているのです。 また、年収の壁がなくなることで、働き方を自由に決められるようになります。パートやアルバイトの人の中には「扶養を外れたら負担が増える」「本当はもっと働きたい」と、制度上のしがらみから自分が望む働き方ができない人もいるでしょう。自分に合った働き方ができるよう、政府は年収の壁の撤廃を進めています。 加えて、親族に扶養される人などの「国民年金第3号被保険者」が受給する「主婦年金」の廃止案も、社会保険の適用拡大の理由の一つでしょう。かつては「男性が仕事、女性が家事」といった生き方がごく普通でしたが、近年は夫婦共働きや女性の社会進出が当たり前になってきました。こうした背景から、主婦年金の役割や意義が見直されているのです。 内閣府が2024年5月23日に開催した「第6回経済財政諮問会議」では、社会保険の適用拡大や年収の壁の撤廃で「第3号被保険者制度の縮小」を図るべきとの意見も出ました。時代にあった社会保障を提供すべく、社会保険の適用拡大が進められているのです。
130万円の壁が「106万円の壁」に。短時間パートでも社保強制加入へ
これまで社会保険の扶養から外れる年収の境目は、130万円でした。しかし、社会保険の適用が拡大されることで、いわゆる「130万円の壁」は「106万円の壁」に変わります。収入106万円を越えれば、多くの人が社会保険の加入対象となります。 2024年10月から社会保険加入の対象となる人は、以下に当てはまる人です。 〈新たに社会保険の加入対象となる人〉 ・従業員51人以上の企業で働く、以下に当てはまるパートやアルバイト・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満・賃金が月額8万8000円以上・2ヶ月を超えて雇用される見込みがある・学生ではない たとえば、従業員51人以上の企業で平日の午後1時から午後5時まで働き、月10万円の収入を受け取っているパートであれば、10月からは社会保険への加入が必須となります。たとえパートの場合でも、年収が106万円を超えるとその時点で社会保険への加入対象となるのです。 低年収で社会保険に加入できるようになるため、病気や怪我、出産で支出が増えてしまっても、充実した手当が受けられます。また、厚生年金保険に加入できるため、年収が低くても老後資産を少しずつ増やすこともできます。 一方、扶養に入りながら働きたい人は、1年間に稼げる金額が130万円から106万円に減ってしまいます。「扶養に入って働き続けるか」「年収を増やす代わりに社会保険料を納めるか」のどちらかを選択しなければなりません。社会保険に入ったことで手取り額が下がってしまうことのないよう、働き方を見直す必要があるでしょう。