高さ7メートル、巨大なたいまつが登場 能登「あばれ祭」へ準備進む
巨大な灯籠(とうろう)「キリコ」が乱舞し、「祭りの国」とも言われる能登の夏を彩る「キリコ祭り」。能登半島6市町200地区で7~10月に相次いで行われる祭りの先陣を切って、7月5、6日に能登町で「あばれ祭」が行われる。「祭りは魂」と言い切る住民たちが準備を進めている。 【写真】大たいまつをクレーンで運ぶ神社の氏子ら。都会に出た若者も、盆や正月には帰らなくても祭りの日には帰省すると言われる 6月29日朝、能登町宇出津(うしつ)の海に面した広場。照りつける日差しの中、20人ほどの男性たちが、長さ7メートルの木の柱を力をあわせて転がし、2カ月ほど天日干ししたアテ(ヒノキアスナロ)の枝葉を巻き付けていた。あばれ祭に向けた大たいまつ作りだ。 あばれ祭は、たいまつや約40本のキリコが照らす2基の神輿(みこし)を路面にたたきつけ、川に投げ込んだり火の中を通したりする荒っぽさが特徴だ。八坂神社がまつる須佐之男命(すさのおのみこと)は乱暴さを喜ぶと伝えられてきた。 キリコが通れるように祭りのときだけ向きを変えられる信号機があり、神輿を落とす場所の川の柵は取り外せるようになっている。 「小学生のとき、祭りの翌日には黒板の日付の横に『祭りまであと364日』と書かれていた」と振り返る60代もいる。 祭礼委員長の新谷俊英さん(70)は、祭りがあるから地元に残った一人。「自分にとって、祭りは魂。生活も、祭りを中心に回っている。祭りの時期が近づくと、海のにおい、山のにおい、朝霧の風景、それらがすべて太鼓の音に聞こえてきて、気持ちがざわざわ、ざわざわしてくる」と話す。 地震の被害は大きかったが、あばれ祭は開催を決めた。 神輿やキリコが巡行する道路の修理は急ピッチで進んだが、電柱が傾き、電線が垂れ下がっているところもある。キリコがひっかからないよう、通らない場所を決めた。 観光客向けの臨時駐車場やシャトルバスの運行は見送る。 「やるからには、地域の人の希望の光になるようにしたい」と新谷さんは言う。 一方で、地震の影響で中止を決めた祭りや、縮小開催を模索している祭りもある。(上田真由美)
朝日新聞社