条件付きも日本遺産「認定」継続 三重・明和町の「祈る皇女斎王のみやこ斎宮」
「参画増やし価値〝見える化〟を」
文化庁は27日までに、認定の継続について再審査の対象となっていた三重県多気郡明和町の日本遺産「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」を含む5件の認定全てを継続(条件付き)すると発表した。 日本遺産の認定は、歴史的建造物や伝統芸能などの有形、無形の文化財やストーリーを対象に、観光などで地域振興につなげるため2015(平成27)年度に開始。認定することで地域の認知度を高め、地域活性化につなげていく。認定から6年後に外部有識者による審査を経る更新制となっている。 文化庁は今年7月、認定継続の可否を審査する計30件のうち、明和町のストーリーを含む5件を再審査としていた。 「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」は古代から中世にわたり伊勢神宮に仕えた「斎王」と、地元の人たちによって守られてきた斎宮跡一帯のストーリー性が認められ、初年度の15年度に全国18ストーリーの一つとして認定された。 今回は▶計画目標の達成に対する評価▶取り組み内容に関する評価▶総括評価――などを審査。計画目標達成に対しては3項目中2項目が可で「全体としてはおおむね目標を達成している」評価となった。取り組み内容に対しては「整備」が「各施設における日本遺産のストーリーを伝える仕組みの整備が十分でない」などと不可となったが、その他の「組織整備」「戦略立案」など6項目は可で「全体として日本遺産を通じた地域活性化・観光の振興を図る土台の整備、必要な取り組みの実施がおおむねできている」との評価を得た。 日本遺産を通じた地域活性化計画は、3段階中「B」評価で、「行政と民間の役割分担がかなり明確になっている」「この6年間での、さらなる取り組みの進展が期待される」「広大な国史跡を中核とした日本遺産のストーリーが、戦略企画部門の充実の中でどのように地域活性化に利用されるか、大いに期待が持てる」などの講評だった。 継続となったが、地域活性化計画を6年間着実に実行することや、町に対して「ストーリーを生かした斎宮の価値の〝見える化〟に取り組むに当たり、史跡の活用の在り方を工夫し、DMO(観光地域づくり法人)やまちづくり組織などの多様な主体の参画を得るよう留意されたい」とし、今後、毎年進捗(しんちょく)状況を報告する他、計画期間の3年目に現地確認を実施する可能性があることなどの条件付き認定となった。 斎宮跡・文化観光課は「計画に基づいて、しっかりと取り組みを進めていきたい」、下村由美子町長は「日本遺産を構成する文化財をもっと知ってもらえるように、いろんな関係者と連携を深めながら充実させていきたい。改めて文化財、日本遺産の意義を知ってもらい、町の起爆剤としていけたら。次も認定してもらえるように頑張っていく」と話した。