「ウォール街の敵」ゲンスラー米SEC委員長、来年1月で退任
(ブルームバーグ): 米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は来年1月20日付で退任する。同氏の意欲的な政策はウォール街や仮想通貨業界の反発を招いていた。
ゲンスラー氏は21日の声明で「証券取引委員会は素晴らしい機関だ。スタッフと委員会は強い使命感を持って投資家保護と資本形成の促進に取り組み、また投資家と発行体の双方にとって市場が確実に機能するよう努めている」と述べた。
ゲンスラー氏の退任後にSECを率いる委員長代行にはいずれも共和党の委員であるマーク・ウエダ氏ないしヘスター・パース氏が就く見込み。
2021年にバイデン大統領から任命された自称「市場の専門家」のゲンスラー氏は気候変動リスクの開示や株式取引の改革、仮想通貨関連の不正取り締まりなどを中心に積極的な政策を推進してきた。保守的な裁判所によって阻止された政策もあるが、一部は金融業界に永続的な影響を残す見通しだ。
同氏は米国株取引の決済期間短縮や、中央清算機関を経由する米国債決済増加につながる規制の導入も実現した。
トランプ次期政権で起用される次のSEC委員長はゲンスラー氏が導入した主要規制の緩和や、仮想通貨寄りの執行に取り組む可能性がある。またヘッジファンドやプライベートエクイティー(未公開株、PE)投資会社に対する規制を重視する方針を転換するほか、気候変動リスク開示規則の廃止を模索する可能性もある。
原題:Wall Street Foe Gensler Plans to Step Down From SEC in January(抜粋)
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Lydia Beyoud