「伝え方が変われば社会が変わる」国内初、政治家の演説をAIが診断 SNS普及で「バズる」コンテンツに。史上最年少の兵庫県芦屋市長も学んだスピーチ術
今年4月の統一地方選で、史上最年少の26歳で市長に当選した兵庫県芦屋市の高島崚輔氏もその1人。選挙が近づくと「駆け込み需要」が増える傾向にあるようだが、話し方にはそれぞれ癖があるため、効果が出るまでには2~3カ月は必要という。 昨年末から約3カ月間トレーニングを受けた東京都文京区議の高山泰三氏(46)は、話し方の技術向上に加え、今までの活動を振り返る機会になり、自信が持てるようになったと振り返る。20代で初当選し、現在6期目のベテラン議員だが、これまで演説について学んだことはなく、当選回数を重ねる一方で政治家としてのマンネリ化を感じていたという。 「当選回数を重ねると、昔から知っている人の支持を固めれば選挙はどうにかなる。だけどそれでは発展性がない。初当選した26歳当時の『元気で爽やかなお兄さん』のイメージから進化するべく、演説が武器の一つになればと思った」 トレーニングは対面とオンラインを併用して受講した。落ち着きなく見える話し方を矯正するため、体の重心の置き方について指導を受けたり、これまで短かった間の取り方は時間を計りながら練習したりした。他にも演説中に専門用語を使う際は意味の説明をする、といった内容に関するアドバイスも受けたという。
トレーニングの成果は、6度目の当選を果たした4月の統一地方選で実感することとなった。 「今までは街行く人のほとんどが話を聞いていないと思っていたし、実際もそうだったと思う。だけど、今回はリアクションをしてくれる人が明らかに増えたと感じた。何より大きかったのは、議員としての経験に自信がなかったが、自分がつまらないと思っていた話でも、聞く人からすればそれなりの実績ということが分かり、自信が付いたこと。選挙をやっていて楽しかった」 またこれまでも、少人数の会合や戸別訪問に比べて、有権者に話しかけられる機会が比較的少ない街頭演説に「逃げている」地方議員が多いと感じていたという。高山さんはこう話す。「選挙をやっていれば、どんな政治家にも自分の弱点やサボってきたところ、苦手な分野、人に言われたら嫌だな、ということがあるはず。少人数相手に話せば突っ込まれる部分も出てくるし、ちゃんと勉強しないといけない。やはり1対1で話すことがすごく大事です」