『ダイヤのA』人気で中国は空前の甲子園ブーム 野球人口急増で「中国版・大谷翔平」が出現する日も近い⁉︎
彼によると、中国リーグはネット中継を含めて1試合あたり数千人に視聴され、「1万に届けば多いほう」だという。その一方で、MLBやNPBを見ている視聴者は「数十万人から数百万人に達するのでは」という。 【日本の高校野球が大人気】 そして、日米のプロ野球以上に人気だというのが甲子園だ。 「『ダイヤのA』の影響です。中国人は日本のマンガ、大好きっすよ。『ONE PIECE』や『NARUTO』だけでなく、僕が知らないようなアニメも見ているし。『ダイヤのA』のファンの人たちが『野球って何なんだろう?』となって、高校野球に集中する人が多いですね」 マンガをきっかけに人気拡大していくのは、古今東西に通じる。広大な国土、そして多くの人口を抱える中国のポテンシャルが高いのは間違いない。沖縄のJWLで「棒球」の緻密さや勝利への執念を見ていると、「大谷翔平になるような選手が2人くらいいる」という梁の言葉は、必ずしも夢物語とは思えなかった。 「すごく可能性を秘めている選手が多いので、これからが楽しみです。やっぱりスポンサー、ほしいですね」 マーケットを広げるには、お金が不可欠だ。そのために何が必要になるのか。梁が続ける。 「ひとつは、国際大会で代表チームが勝つのは重要事項ですね。もうひとつは、スターが出てこないといけないと感じます。大谷翔平のような選手がパッとひとり出てくると、一気に盛り上がるんじゃないかなと思います」 現在の中国代表で言えば、主軸を任される梁が候補のひとりだ。26歳となり、野球選手として脂が乗ってきた頃でもある。 高校卒業後、中国野球の発展に多くを捧げてきた梁は、今後のキャリアをどう描いているのか。 「直近で言えば、WBCの予選を勝ち上がって、もう一度、東京ドームの舞台に立つことが一番の目標です。いずれ選手として引退する時が来るので、その前に日本でやってみたいなっていう気持ちもあります。中国選手のスターが必要というところでいくと、絶対にMLBでなければいけないわけではなく、NPBでもいいわけです。もしここ数年でそういう子が出てこなければ、自分がそういう架け橋になれれば、すごく幸せなことだなと思います」
中国代表の主軸を任される梁は今、多くの期待を背負い、次の戦いに備えている。大事な国際舞台に向かう上で力になっているのは、やはり戸郷から放った一撃だ。 「あのホームランで、これからも外のプレッシャーを感じていくのかなって思いますね。でも、野球選手としてそこは結果を出したいところです。一発屋で終わらないようにしたいなと思います」 中国代表が2025年3月のWBC予選を突破し、翌年、再び東京ドームで日本と対戦する日を楽しみに待ちたい。
中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke