豊洲市場 開場1年 「習熟期間」から新たなブランド確立なるか
駐車場は増えたが「今も足りない」と事業者
開場以前から市場の事業者が心配していたのが、駐車場不足だ。ただ収容台数は築地時代から減ったわけではない。開場前の資料を確認すると、豊洲市場の駐車可能台数は、旧築地市場の4580台から5100台と約500台増えている。 にもかかわらず不足が懸念されたのは、築地では場内の駐車場のほかに、市場の外の周辺道路にも駐停車する車両が多かったためだ。都は、豊洲市場ではこれらの車両も市場内の駐車場に収容することを想定し、駐車可能台数を増やしたが、事業者側は「それでは足りない」として駐車場の増設を要望した。 これを受けて、都は開場前の2018年4月、橋を一つ渡った有明地区に約220台分の駐車場を確保したが、事業者からはまだ足りないとの声が上がる。駐車場不足を見越して、豊洲市場を訪れる頻度を減らした買出人もいるという。 都中央卸売市場の担当者は「不満の声は聞いているが、有明の駐車場も含め、中には空いているところもある。こうしたミスマッチを少しずつ解消していくことが大事」と話す。都は、大半の駐車場の管理を事業者が作った複数の管理団体に委ねており、各団体に運用面での工夫を求めている。 有明地区のほか、都は開場時から今年3月末までの半年間限定で、商業・観光施設「千客万来」の建設予定地を駐車場として使用した。だがこれは、管理団体による希望者への駐車場割り当て作業が遅れたための緊急的な措置だ。事業者からは、この土地の継続利用を望む声もあるが、都は「そもそもは千客万来に使うための土地」として活用しない姿勢を示している。 水産仲卸業者の団体である東京魚市場卸協同組合(東卸)では、「午前のピーク時間帯に駐車場が不足する」として、駐車場の増設を都に求める一方、自らも民間駐車場の活用による買出人の駐車スペースの確保など、独自の取り組みを検討している。 交通アクセスの面では、昨年の開場初日に市場へ出入りする車両によって周辺道路が大渋滞するという問題も発生した。もっとも、事業者の話によるとひどい渋滞は初日のみ。豊洲市場付近を通る環状2号の上り線が通れることが周知され、出入りする事業者が慣れるに従って解決したようだ。