欧州メーカーが「本気で警戒」する時が来た! キアEV9 ベスト・ラージカー賞 AUTOCARアワード2024
ストームトルーパーに似た大胆デザイン
これまで欧州の人々は、キアが大きなクルマを得意とするメーカーだと認識してこなかった。それが、この土地でEV9が大きな話題を集める理由の1つかもしれない。 【写真】ベスト・ラージカー賞:キアEV9 ベスト・ドリームカー賞:フォード・マスタング 初代ボスとマッハ1も (128枚) しかし、ご当地の韓国や主要市場の北米では、キアは大型モデルでシェアを拡大してきた。SUVのソレントやテルライド、ワンボックスのカーニバルなど、実は多彩にラインナップされている。K9という、全長5m超えのサルーンも提供している。 つまり、キアのデザイナーは大きいボディのデザインにも慣れている。EV9の大胆なスタイリングは、臆することなく生み出されたのだろう。スター・ウオーズのストームトルーパーに似た印象を受けるかもしれないが。 EV9を試乗していると、行く先ざきでこのクルマはどこの何なのか尋ねられる。SF映画のセットから走り出してきたような見た目に、多くの人が目線を向ける。 今後数年以内に、EV9へ似た見た目の小さなSUV、EV5やEV3が販売されるそうだ。この特徴的なデザインは、キアの新たな「顔」になっていく。 EV9が巻き起こす強い関心は、キアというブランドへ強力なプラスの効果を与えるに違いない。現実的な価格帯で購入できことが浸透すれば、欧州市場のシェアも急激に伸びる可能性はある。大型モデルが、本来果たすべき役割ともいえる。
欧州のメーカーが本気で警戒する時が来た
見た目だけでなく、EV9は7シーターの電動SUVとして完成度も高い。欧州の老舗ブランドからシェアを奪うことが目指されつつ、過度に飾ることなく、偏見なしで受け入れて欲しいという自信すら漂っている。 全長は5010mmもあるが、そのぶん車内は広々としていて、実用性も低くない。乗り心地は上質だし、インテリアの高級感もなかなか。デジタル技術に不足もない。気になる点といえば、些細なことにすぎない。 航続距離や動力性能は、アウディやBMW、メルセデス・ベンツなどのバッテリーEVへ劣らない数字が主張される。そして、数万ポンド(数100万円)は安い。他メーカーがEV9から学ぶべき部分は、多いのではないだろうか。 キアは以前から、既存の大手へいかに対抗していくか考えを巡らせてきた。いよいよ、本気で警戒するべき時が来たようだ。
マット・ソーンダース(執筆) 中嶋健治(翻訳)