新生・高松商の武器は粘り強さ 長身左腕エース中心に守り抜く センバツ出場校紹介
高松商(香川)は4年ぶり28回目の出場となる。8強入りした昨夏の甲子園では3本塁打を放つなどした浅野翔吾(巨人)を擁し、打撃が注目されたが、新チームは粘り強く守り勝つスタイルで四国大会で準優勝した。
伝統校の強さ発揮
創部100年以上の伝統を誇り、第1回大会の優勝校でもある名門。春夏合わせて50回目の甲子園となる。 昨秋の香川県大会では準決勝までの4試合全てで5得点以上を奪い、決勝は2―4で英明に敗れたものの準優勝を果たした。2年ぶりの出場となった四国大会は徳島商、明徳義塾(高知)、鳴門(徳島)を降して決勝に進出。県大会に続いて英明に敗れたものの伝統校の強さを見せた。 打線は打順に関係なく得点でき、強力だ。中でも昨夏の甲子園を経験している久保慶太郎、横井亮太、中本翔真の2年生3人が攻撃をけん引。成長著しい市ノ瀬夢蔵(1年)にも期待が掛かる。
守備からリズム作る
投手陣はエース左腕の大室亮満(2年)と右腕・佐藤晋平(1年)の継投を軸に、粘り強い。188センチと長身の大室は「課題は制球」と話し、この冬は長尾監督やチームメートからのアドバイスを聞きながら体幹を強化してきた。最速140キロの直球に加え、カーブ、スライダーなど変化球の精度も増してきた。昨夏の甲子園では6-7で敗れた準々決勝の近江(滋賀)戦など2試合に登板し、「あの舞台で全力が出せるように、みんなと話しながら安定したフォームをつくってきた」と手応えを語る。秋の大会9試合を通じて失策6と守備も堅い。 横井、久保ら昨夏の甲子園を経験した選手が多く残る。大室は「苦しかったが、三振を奪った時などの大歓声は本当にうれしかった。今度は優勝して喜びたい」と語る。長尾監督は「悔しさも大切な経験。選手たちは、固くなりすぎずに自分たちの野球を出し切れるはず」と話す。 主将の横井は「高商伝統の守備からリズムを作ることを意識し、しっかり守ってワンチャンスをものにしたい」と意気込む。
22年ドラ1 に浅野翔吾
1900年に「高松市立高松商業学校」として創立。商業科、情報数理科、英語実務科に分かれる全日制課程は881人(男子343人、女子538人)、商業科のみの定時制課程は20人(男子12人、女子8人)が学んでいる。 野球部は1909年に創部し、現在の部員は49人。夏の甲子園にも22回出場し、2022年は8強入りした。全国優勝は春2回、夏2回。野球部OBにはプロ野球・巨人で監督も務めた故・水原茂氏らがいる。22年秋のプロ野球ドラフト会議では浅野翔吾選手が巨人の1位指名を受けた。女子ハンドボール部や書道部など、他の部活動も盛んだ。