「エルドアンVS.クルチダールオール」トルコ・ダブル選挙の構図と論点
建国100周年の大統領選勝利を目指すエルドアン
100年前、トルコ共和国を建国したムスタファ・ケマル(アタテュルク)の像
2017年の憲法改正により議院内閣制から大統領制へと移行したトルコにおいて、 大統領制下で2度目の選挙が2023年5月14日に実施される 。大統領選と同時に議会選も行われるダブル選となるが、この選挙の最大の争点は、現職大統領のレジェップ・タイイップ・エルドアン氏が勝利するのか、という点である。 2002年11月総選挙以来、与党の座を守る公正発展党の中心として、大統領制への移行を進め、選挙に強いというイメージがあるエルドアン大統領だが、エルドアン氏が大統領選に初めて出馬した2014年の大統領選挙でも、次の2018年の大統領選挙でも圧勝したわけではなかった。2014年の大統領選挙でエルドアンの対抗馬として最大野党の共和人民党(CHP)から出馬したのはイスラーム諸国の国際機構であるイスラーム協力機構元議長であるエクメレディン・イフサノール氏であった。エルドアン氏はイフサノール氏と競り合い、51.79%の得票率で勝利した。前回の2018年の選挙ではエルドアン氏の圧倒的有利が囁かれていたが、蓋を開けると共和人民党の候補、ムアッレム・インジェの追い上げに合い、1回目の投票で勝利したものの、その得票率は52.59%にすぎなかった。このように、過去2回の大統領選挙を概観しても、エルドアン氏は決して大統領選に圧勝したわけではなかった。
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今井宏平